2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14550674
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
下村 雅人 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (20251853)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 健 長岡技術科学大学, 工学部, 助手 (90262477)
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Keywords | 固定化酵素 / グルコースオキシダーゼ / マグネタイト / グラフト重合 / アクリル酸 / アクリルアミド / 共重合 / ゼータ電位 |
Research Abstract |
固定化酵素の至適pHを固定化担体の表面に存在する官能基によって制御することを目的として、平成14年度は担体表面の酸性基(カルボキシル基)の効果を検討した。固定化担体としてはマグネタイト粒子(平均径0.2μm)を用い、先ず、粒子表面からアクリル酸とアクリルアミドのグラフト共重合を開始させ、組成(カルボキシル基含有量)の異なる共重合体を結合させた。次いで、このカルボキシル基との縮合反応により担体粒子表面に酵素(グルコースオキシダーゼ)を固定化した。固定化したグルコースオキシダーゼの活性とpHとの関係を追跡した結果、その至適pHは、遊離酵素の至適pH(4.0〜5.0)とポリアクリル酸を結合させたマグネタイト粒子表面に固定化した酵素の至適pH(7.0)との間の値となり、結合した共重合体中のアクリル酸成分(カルボキシル基)の含有量が多くなるにつれてより塩基性側へと変化した。一方、pH7.0において担体粒子の表面電位(ゼータ電位)を測定した結果、粒子表面のカルポキシル基含有量が多くなるにつれてゼータ電位の値はより負の方向に向かうことが確認され、カルポキシル基の解離によって生じたカルボキシラートイオンの負電荷が反映されていることがわかった。すなわち、担体粒子表面のカルボキシル基は固定化酵素の周辺のpHを局所的に低下させるので、これを相殺する方向(塩基性側)に至適pHが変化するものと解釈できる。これらの結果は固定化酵素の至適pHを固定化担体の表面に存在する酸性基によって塩基性側に変化させるうることを示しており、引き続き平成15年度に塩基性基の効果について検討することで、固定化酵素の至適pHを担体表面の官能基によって任意に制御できる見通しが得られた。
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