2003 Fiscal Year Annual Research Report
超強加工PMプロセスによる材料の高機能化を目指した新しい組織制御方法の確立
Project/Area Number |
14550693
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
飴山 惠 立命館大学, 理工学部, 教授 (10184243)
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Keywords | 粉末冶金 / 鉄鋼材料 / メカニカルミリング / ナノ構造 / 積層欠陥エネルギー / 相変態 / オーステナイト系ステンレス鋼 / ニッケル |
Research Abstract |
本研究では,結晶粒超微細化メカニズムを明らかにし,また,超微細化に付随しで起こる現象について新しい知見を見いだした.本研究では,超強加工を施した数十ミクロンから数百ミクロン程度までの大きさの金属粉末の詳細な組織学的な検討を行う必要から,新たに透過型電子顕微鏡用試料作製方法を確立した.この実験手法を用いて,メカニカルミリング(MM)を施したSUS304L鋼粉末のナノ結晶化のメカニズムについて検討した.その結果,ナノ結晶粒を有する表面改質層の生成,表面改質層と内部の境界近傍での幅数十nm長さ数百nmのナノレイヤー組織の形成,ナノレイヤー組織からの等軸ナノ結晶粒の生成,というメカニズムを明らかにした.さらに,ナノ結晶化と材料固有の積層欠陥エネルギー(SFE)の関連性について検討した.SFEの差違を明確にするためにSUS304L,SUS316Lおよび純Niの粉末にMMを施し,粉末内部の詳細な組織観察を行った結果,SFEが小さい材料ほどナノレイヤー組織が形成されやすいことを明らかにし,結晶粒超微細化の材料依存性を明らかにした.また,超強加工にともなう新しい相変態について組織学的観点から詳細に検討した.SUS316L鋼粉末はMMによってBCC構造を有する結晶粒が生成する.このBCC粒は,結晶粒超微細化にともなう母相の界面エネルギーの上昇と格子欠陥(原子空孔)の増大,粒界の凹凸の形成にともなう母相の化学的自由エネルギーの上昇により,マッシブ的に変態したフェライト粒であることを明らかにした.超強加工という機械的エネルギーを,従来,温度差を与えることでしか達成できなかった相変態の駆動力に置き換えることが可能であることをはじめて実証した.この結果は,これからの材料開発において極めて重要な指針を与えるものである.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] H.Inomoto, H.Fujiwara, K.Ameyama: "NANO-GRAIN FORMATION MECHANISM IN NI, SUS304L AND SUS316L POWDERS BY HS-PM PROCESS"J.Metastable and Nanocrystalline Materials. 15-16. 187-192 (2003)
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[Publications] 宮野公樹, 多賀谷和範, 川瀬和典, 飴山惠, 杉山進: "MA-SPS粉末焼結法のLIGAプロセスヘの応用"材料. 52. 783-788 (2003)
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[Publications] N.Miyano, H.Iwasa, K.Isonishi, S.Tanaka, S.Sugiyama, K.Ameyama: "Application of pseud-superplasticity to produce TiN/Ti5Si3 and TiC/Ti5Si3 nano grain composites for micro molding"Materials Science Forum. 447-448. 311-316 (2004)
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[Publications] Naoki Miyano, Hiroshi Iwasa, Kazuo Isonishi, Kei Ameyama: "Fabrication of a TiC/Ti5Si3 Nano-Graine Composite for Micro-Parts by Pseud-Superplastic Deformation"Materials Transaction JIM. (投稿中).