2003 Fiscal Year Annual Research Report
精密電鋳によるアルミニウム丸棒間の室温接合とその接合膜の密着力評価法の確立
Project/Area Number |
14550705
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
津留 豊 九州工業大学, 工学部, 助教授 (50089950)
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Keywords | 精密電鋳 / ニッケルめっき / アルミニウム / 室温接合 / 均一電着生 / 引張り試験 / 密着力 |
Research Abstract |
[1]ニッケルめっきによるアルミニウム丸棒(以下丸棒と略記)間の接合と密着強さ,および[2]めっきニッケルとアルミニウム平板間の密着強さに及ぼすアルミニウム酸化物の影響について検討した。前者の[1]では平成14年度のデータを生かして以下に示す2つの事項を実施した。(1)丸棒素地とめっきニッケル間での密着強さの評価,そして(2)丸棒接合部の結晶構造および組織の検討である。ただし,丸棒には純アルミニウムを選択し被めっき部分が,30°傾斜したもの(同一形状のもの2本で一対)を準備した。これにより丸棒素地から垂直方向,およびせん断方向への密着強さの評価が可能となった。またアルミニウム表面の仕上がり粗度が,めっき膜の密着強さに大きな影響を及ぼすことが明らかになったので,新たに2軸回転式の研磨機を製作し適用した。丸棒素地表面の前処理はアルカリ亜鉛酸塩の普及浴を用いた2回亜鉛置換処理とした。処理条件は1回目亜鉛置換処理を90秒,次に36%硝酸処理を60秒,そして2回目亜鉛置換処理を30秒とした。溶液温度はいずれの場合も25℃である。これら前処理過程での丸棒表面の変化は水液中での丸棒の混成電位を計測することでモニターできた。高速度ニッケルめっきは,スルファミン酸ニッケル浴を用い溶液温度50℃,電流密度10A/dm^2で実施した。その後引張り試験を実施した。得られた丸棒接合部の結晶構造は薄膜X線回折装置で,またその組織と形態は電子線微細分析装置を用い調べた。後者の[2]では平板のアルミニウム上へ硫酸水溶液中で一定量の酸化物層を形成させた後,[1]と同じ条件で2回亜鉛置換処理を実施した。その後ニッケルめっきを行いピーリング試験を実施した。得られた平板接合部界面の分析は前者と同様である。 以上の研究から,めっきニッケルとアルミニウム間の密着強さは,アルミニウム表面の化成処理条件の他に,その仕上げ粗度および表面に形成された酸化物の状態とその厚みに大きな影響を受けることが明らかになった。これらの結果のうち後者は,2004年3月17日に東京都立大学で行われた表面技術協会の第109回講演大会において発表した。
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Research Products
(1 results)