2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14550718
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松田 秀幸 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (00181735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
我妻 和明 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (30158597)
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Keywords | スクラップ鉄 / トランプエレメント / 低圧レーザー誘起プラズマ / 発光分光法 |
Research Abstract |
平成15年度は、前年開発したトランプエレメント検出器のNd:YAGレーザー光伝送部分を、レーザー伝送用光ファイバー(三菱電線工業STU-1200I,コア径1.2mmφ,3m)に変更して実験を行った。フラッシュランプ励起高出力パルスレーザー光(波長532nm,〜50mJ/pulse,パルス幅10ns)を光ファイバーに導入し、また光ファイバーから出射したレーザー光を平行ビームに戻すためのコリメーターは、同社製D85-THLのレンズ部分を、1064nm用反射防止コーティング無しの石英製レンズに変更した物を用いた。レーザー光を光ファイバーに通したところレーザービームの質が劣化し、焦点距離200mmの石英レンズで試料表面に絞り込んでも小さなスポットは得られなかった。その状態で入射レーザー光の出力を上げて行き、試料表面でレーザー誘起プラズマを発生させようとしたところ、光ファイバーの入射口でブレークダウンが起き光ファイバーは破壊されてしまった。光ファイバーを通して試料表面にレーザー誘起プラズマを発生させようとする場合には、光ファイバーへのレーザー光の導入方法を工夫する必要があることが分かった。 そこでトランプエレメント検出器において、試料のサンプリングと励起を高出力パルスレーザー光だけで行うのではなく、サンプリングは光ファイバーを破壊せずに通過することが保証されている、ピーク出力の小さなレーザーダイオード励起QスイッチNd:YAGレーザー(波長1064nm)を用いたレーザーアブレーションにより行い、試料原子の励起は、高周波又は直流ヘリウムグロー放電により行うことにした。本実験で使用したレーザーのピーク出力は大きくないため(〜40kW以下)レーザー光伝送用の光ファイバーは、コア径が400μmφ、長さ100mの物(三菱電線工業ST-400E-SY)を使用した。この光ファイバーをレーザー光は約70%透過したが、レーザービームの質が劣化したため、焦点距離100mm以下のレンズを使って集光した場合、色の付いた試料上でのみレーザーアブレーションが起き、金属ではレーザーアブレーションが起きなかった。しかし、光ファイバーによりレーザー光を伝送してもレーザーアブレーションは起きることが確認できたので、今回使用したものよりピーク出力の大きなレーザーダイオード励起YAGレーザーを用いれば、鉄鋼試料などの金属材料でもレーザーアブレーションによるサンプリングは可能になるものと思われる。この、金属試料のサンプリングは光ファイバーを通さないでレーザーアブレーションにより行い、試料原子の励起はヘリウムのグロープラズマにより行うトランプエレメント検出器についてその特性を調べ、その結果は論文、学会講演、及び国際会議において公表した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Tariq Mahmood NAEEM: "Effect of plasma gas for spectrometric analysis f tin and zinc using low-oressure laser-induced plasma"Spectrochimica Acta Part B. 58. 891-899 (2003)
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[Publications] Hideyuki Matsuta: "Emission Intensity Modulation of Radio-Frequency Helium Glow-Discharge Emission Source by Laser Ablation"ANALYTICAL SCIENCES. 19. 813-814 (2003)
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[Publications] 松由 秀幸: "自己バイアス電流導入型高周波ヘリウムグロー放電励起源の分光特性"分析化学. 52. 439-445 (2003)
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[Publications] Hideyuki Matsuta: "The Effect of Laser Wavelength on the Selective Vaporization of Cu-Zn Alloy in Laser Ablation at Low Pressure"ISIJ International. 44. 220-222 (2004)