2002 Fiscal Year Annual Research Report
化学ポテンシャル勾配を応用したエコスティールの開発
Project/Area Number |
14550720
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
大谷 博司 九州工業大学, 工学部, 助教授 (70176923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 清仁 東北大学, 未来化学センター, 教授 (20151368)
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Keywords | エコスティール / 化学ポテンシャル勾配 / クラッド鋼 / 表面改質 |
Research Abstract |
従来の圧接による鉄系クラッド材は、それぞれの材料の特性を生かすために界面での拡散を阻止するように製造されている。しかし、化学ポテンシャルの勾配を利用して、低C系普通鋼と高C系HSLA鋼を圧接して拡散処理すると、通常の感覚とは違い、高CであるHSLA鋼が普通鋼のCをほとんど吸収し、より高いC組成を有するような逆拡散をする可能性がある。本研究では、このような逆拡散を利用した鉄系クラッド材の組織制御に関する基礎的研究を行うことを目的として、本年度は異種鉄鋼材料をクラッドした場合の界面におけるCの拡散挙動を拡散方程式の数値的解法により研究した。計算結果の一例として、内側に厚さ0.045mのFe-0.3wt%Si-0.05wt%C3元系合金、外側に厚さ0.005mのFe-13wt%Cr-0.10wt%C3元系合金をクラッドし、温度1173K、圧力101325Paで拡散させたところ、時間が経過するにつれて、鋼中のC量が接合界面より内側から外側へ吸収されている様子がよく再現されることがわかった。この結果表面層にCr_<23>C_6が析出することから、拡散処理理後の表面層に、有効な機能を持つ炭化物などを析出させ、鉄系表面改質材の製造プロセスに応用できる可能性が確認できた。これ以外にも、Tiを含むステンレス鋼を汎用鋼の表面にクラッドすることにより、表面層における微細なNaCl型炭化物の析出がおこることなど、多くの計算実績を積み重ねた。これにより、本研究における基本概念が正しいことが確認されたので、次年度以降は、この方法の具体的な応用について考えていく予定である。
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Research Products
(1 results)