2004 Fiscal Year Annual Research Report
高分解能レーザー分光法にもとづく窒化炭素材料の水素量制御と電界放出素子への展開
Project/Area Number |
14550721
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 治彦 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (70201928)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 秀俊 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (80250984)
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Keywords | アモルファスCN膜 / プラズマCVD / BrCN / 付着確率 / 表面プロセス / 薄膜合成 / 膜重量 / 赤外スペクトル |
Research Abstract |
本年度はCNラジカルの膜表面への付着確率を決定した。CN膜の組成が[N]/([N]+[C])=0.5であることを用いると、気相におけるCNラジカルの数密度n_<CN(X)>、基板に衝突するCNラジカルの速度V、堆積時間t_d、基板の面積A、堆積した膜の重量wを用いて、付着確率sは s=wL/n_<CN(X)>Vt_dAM (L、Mはそれぞれアボガドロ数とCNの式量) と表される。そこで、これらのパラメーターを実験的に求めてsを決定した。 Arの放電フローによるBrCNの分解反応を用いてCNラジカルを生成した。CN(A^2Π_i-X^2Σ^+)遷移のレーザー誘起蛍光(LIF)スペクトルの強度をレイリー散乱強度で校正することにより、n_<CN(X)>を決定した。パルス変調マイクロ波放電と2台の光電子増倍管を用いた時間分解測光により、Vを決定した。Arの圧力P_<Ar>は0.3-0.7 Torrとした。いくつかのP_<Ar>についてこれらのパラメーターを求め、sを決定した結果、0.032-0.019の値を得た。さらに、これらの付着確率はP_<Ar>に対し負の依存性をもっていることが見出された。この依存性は次のように解釈された。本実験ではP_2O_5を用いた脱水を特に行なっていないため、膜中に水素終端構造が存在し、IRスペクトルを測定すると3300cm^<-1>付近にNH_y(y=1,2)およびOH基の伸縮振動による吸収が観測される。したがって作成された膜は厳密にはa-CN_x:O:Hと分類される。これら水素終端構造の吸収強度はAr圧の上昇に伴い増加している。水素終端構造の吸収強度と付着確率の間に高い負の相関が見出された。CNラジカルが膜表面に到達すると、付着して膜に取り込まれる過程の他に膜表面の水素原子を引き抜いてHCNを生成して膜に取り込まれない過程があると考えられる。前者の反応速度は膜表面の活性サイトの数密度に、後者の反応速度は膜表面の水素原子の数密度にそれぞれ比例する。膜中の水素原子密度が増加すると後者の反応速度が増大すると同時に、活性サイトが減少するので、前者の反応速度が減少する。そのため上記の負の相関が生じると考えられる。付着確率のP_<Ar>に対する負の依存性はCNラジカルの膜表面における化学反応性を反映している。
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Research Products
(3 results)