2003 Fiscal Year Annual Research Report
バイポーラ膜を利用した等電点電気透析反応器による蛋白質加水分解反応分離
Project/Area Number |
14550746
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
高橋 博 秋田大学, 工学資源学部, 講師 (70197169)
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Keywords | バイポーラ膜 / 電気透析 / イオン交換膜 / pH勾配 / アミノ酸 / タンパク質加水分解 |
Research Abstract |
申請者らが開発した市販のバイポーラ膜とイオン交換膜を組み合わせ,装置内に任意のpH勾配を形成することができる電気透析装置を用い,今年度は高pH環境下におけるアミノ酸の膜透過特性を調べるとともにモデル解析を行った。 本研究で想定する食品タンパクの加水分解生成物中には多種の酸性,中性,塩基性アミノ酸が存在することから,はじめにこれらのアミノ酸を効率よく分離するために必要なアルカリ側のpH勾配の形成法について基礎的な検討を行った。その結果,本手法によりアルカリ側のpH勾配を形成することはもちろんのこと,中性アミノ酸を分離する際に重要なポイントとなると予測される弱アルカリ性の領域のpH勾配も容易に形成できることが明らかとなった。 次に,バイポーラ膜と陰イオン交換膜を組み合わせた6室から成る電気透析槽を用い,電気透析槽内に形成されたアルカリ側のpH勾配を利用して酸性-中性アミノ酸,および中性アミノ酸間の相互分離を行った。酸性および中性アミノ酸としてグルタミン酸とメチオニンを用いて相互分離を行った場合,酸性アミノ酸であるグルタミン酸が優先的に電気透析槽内の各室を透過し,中性アミノ酸であるメチオニンとの相互分離が良好に進行する結果を得た。また,次に加水分解物から生成するアミノ酸には数多くの中性アミノ酸が含まれることから,比較的分離が困難である中性アミノ酸同士の相互分離を試みた。その結果,アミノ酸としてアラニン,ロイシン,フェニルアラニンの3種類の中性アミノ酸を用いて本手法により相互分離を行った場合,高アルカリ性の領域よりも弱アルカリ性領域のpH勾配を利用することによって3種類のアミノ酸を分離することが可能になることが明らかとなった。 今年度得られた結果を基に,アミノ酸の解離平衡,イオン交換平衡,溶液の電気的中性条件,バイポーラ膜からの水酸化物イオンの生成速度さらにはNernst-Planckの式に基づくイオンの膜内の透過速度を考慮に入れたモデルを構築し解析を行った。その結果,計算値は実験値の傾向をほぼ説明づけることができ,本モデルにより分離の予測を行うことが可能となった。なお,これらの成果は2003年化学工学会第36回秋季大会で公表(V2A08)すると共にAPCChE2004でも公表を予定している。
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Research Products
(1 results)