2002 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ微粒化分散滴系ラジカル重合反応機構の解明とその理論体系化に関する研究
Project/Area Number |
14550748
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
埜村 守 福井大学, 工学部, 教授 (90020239)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 清 福井大学, 工学部, 助手 (30283162)
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Keywords | 分散滴 / マイクロフルイダイザー / 滴径制御 / オストワルドライプニング / 分散安定剤 / ラジカル重合 |
Research Abstract |
ナノ微粒化分散滴系ラジカル重合反応において、重合機構に及ぼす分散微粒子滴径の影響を体系的に把握することを試みた。そため、まず、重合が生起する微粒化分散滴径の制御を目的とする実験を行った。重合分散質として、水への溶解度が大きく異なるスチレン(St)とパーフルオロオクチルエチルアクリレート(FA)モノマーを用い、それらを連続相である水、分散安定剤(ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)又はポリビニルアルコール(PVA))と混合し、マイクロフルイダイザー(Microfluidics製、M-110EHI型)で処理し、微粒化分散滴を調製した。マイクロフルイダイザーでは原料液を特殊形状の流路に高圧で流し込ん分散化させるが、その圧力や流路に通す回数(処理回数)の分散滴径に及ぼす影響を調べた。処理圧力や処理回数を増加させると、ある処理圧力や回数までは分散滴径が減少するが、それ以上では分散滴径は殆ど減少しないことがわかった。分散安定剤としてSDSとPVAのいずれを用いた場合も、分散安定剤濃度の増加とともに分散滴径が減少した。ただし、Stを分散質に用いた場合には、どの条件でも、分散滴径は処理後の時間経過とともに著しく増加した。Stに比べて水への溶解度が著しく低いFAを分散質とした場合は、時間経過による分散滴径の増加はStの場合に比べて非常に小さかった。この原因は、Stが微小滴から水相に溶出し、より大きな滴へと拡散移行するオストワルドライプニング効果によると考えられる。分散質がStの場合でも、水への溶解度が極めて低いトリデカンなどをStに対して重量比で2〜10%添加すれば、時間経過による分散滴径の増加が抑制できた。以上、FAが分散質の場合は、平均径が60nm〜200nmの、Stが分散質の場合は、トリデカンなどの疎水性物質の添加により平均径が200nm〜600nmの安定なナノ微粒化分散滴が各々調製できた。さらに微小な10nm程度の分散微粒子滴の調製にはマイクロエマルションが利用できる。現在、これらの系でKPSやAIBNを開始剤とするラジカル重合を行い、重合速度や生成ポリマーの重合度に及ぼす分散滴径の影響を系統的に調べている。
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