2003 Fiscal Year Annual Research Report
鹿角芝キノコ(Ganoderma lucidum)の光スイッチィング機能解析
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14550767
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
天野 義文 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (70020401)
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Keywords | 鹿角芝 / Ganoderma lucidum / キノコ / 光スイッチィング / 光応答蛋白質 / 光増殖抑制 / 光波長 / 菌糸体培養 |
Research Abstract |
鹿角芝(Ganoderma lucidum)はサルノコシカケ科のキノコである。このキノコは光の有り無しで著しく形態変化する。この形態変化の機構を菌糸体培養により、分子レベルで研究することを目的とした。菌糸体培養に於ける基本的な事項を検討した後、菌糸体増殖と菌糸体成分に及ぼす光照射の影響を検討し以下の成果を得た。 1)菌糸体の生育は、Malt extract 1%, Yeast extract 0.4%, Sucrose 1%の培地組成において、寒天固体培養及び液体培養のいずれにおいても良好であった。培養温度は25〜30℃が適していた。 2)固体培地での菌糸体培養に於いて増殖速度をコロニー直径で計測した場合、暗培養の増殖速度は明培養時(光照射)の増殖速度の3.5培であった。また、明培養の菌糸の直径が2.57μmであるのに対し、暗培養では7.99μmとなり3.1倍であった。更に暗培養では菌糸は直線的な特徴ある増殖を示した。 3)菌糸の増殖速度は光スイッチィング(明、暗培養の切り替え)に応答して変化することが分かった。 4)菌糸体の光感受性は100lux以下であった。 5)ブラックライト(351nm)及び発光ダイオード(470,630,730nm)を光源に用いて、菌糸体増殖に及ぼす光波長の影響を検討した。その結果、ブラックライト(351nm)及び発光ダイオード(470nm)の光照射により増殖が著しく阻害された。赤色光と近赤外光(630,730nm)は増殖速度に影響しなかった。 6)明培養、暗培養において、菌糸体に含まれるβ-1,3-グルカンの含有量は増殖が活発な時期には低く、増殖速度の低下と共に含有量は増加することが分かった。 7)菌糸体を液体窒素で凍結後、破砕し蛋白質を抽出した。蛋白質抽出液をSDS-PAGEで解析したところ、明培養と暗培養では泳動パターンに明らかな差異が認められた、明培養では分子量26kD,50kD付近に濃く染色されるバンドが確認された。
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