2003 Fiscal Year Annual Research Report
組換えDNA実験のグリーン化・効率化を支援する熱失活性及び低温活性酵素の開発
Project/Area Number |
14550769
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
春木 満 日本大学, 工学部, 助教授 (30273593)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森川 正章 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20230104)
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Keywords | BglII / DNAリガーゼ / 低温菌 / 熱失活性酵素 / 低温活性酵素 / 組換えDNA実験 / グリーン化 / RNase A |
Research Abstract |
当該研究は、フェノール処理などの操作を不要とすることにより、組換えDNA実験のグリーン化を進めることを目指し、熱失活性酵素の開発を行う。また、通常低温で行われる連結反応の効率化を目指し、低温において高い活性を有するDNAリガーゼの開発も行う。 本年度は、熱処理により失活しないRNase Aおよび制限酵素BglIIの熱失活性変異体を取得するために、これらの遺伝子のファージ上へのディスプレイを試みた。RNase A遺伝子は、10本の合成オリゴDNA断片をPCRによりつなぎあわせて構築した。BglII遺伝子は、Bacillus subtilis(Ehrenberg)のゲノムよりPCRにより取得した。M13ファージのpIIIコート蛋白質遺伝子のN末端にこれらの酵素遺伝子を挿入した。挿入する酵素のN末端には、6×Hisタグ配列を付加した。構築した遺伝子をもつ大腸菌にヘルパーファージを感染させ、ファージ粒子を調製した。得られたファージのNi-NTAプレートへの結合を、抗M13抗体を用いたELISA法により調べたが、プレートへの特異的結合はみられなかった。したがって、酵素がファージ上へうまくディスプレイされていないと考えられ、現在コート蛋白質の発現量を増加させるなどの検討を行っている。 低温菌DNAリガーゼについては、近縁でゲノム配列の解読されているS.oneidensisのDNAリガーゼの遺伝子の配列をもとにPCRプライマーを合成し、SIB1株のゲノムDNAを鋳型としてPCRを行った結果、600bpの断片が増幅された。この断片の塩基配列を決定したところ、そのコードするアミノ酸配列は、S.oneidensisのDNAリガーゼと77%の同一性を示し、SIB株のDNAリガーゼ遺伝子の一部であることがあきらかとなった。現在、全長の遺伝子の取得を進めている。
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