2002 Fiscal Year Annual Research Report
電極表面上における有機薄膜の電位誘起相転移フロント表面伝搬の実時間追跡
Project/Area Number |
14550794
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
相樂 隆正 長崎大学, 大学院・生産科学研究科, 助教授 (20192594)
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Keywords | 電極表面 / 有機薄膜 / 相転移 / 表面伝搬 / ビオロゲン / デンドリマー |
Research Abstract |
1.ヘプチルビオロゲンがHOPG電極表面上で起こす相転移挙動を、近似的にFrumkin等温吸着式で説明することができた。また、同式における相互作用パラメータを求めたところ、還元体間の強い親和的相互作用が、相転移現象、特に双安定電位領域を支配することがわかった。 2.ヘプチルビオロゲンの相転移挙動を、ダブル電位ステップクロノリフレクトメトリーで追跡することに成功した。その結果、第一電位ステップで転移をどこまで進行させたかに依存して、双安定電位領域内に酸化体と還元体とを共存させうることがわかった。 3.ビスビオロゲンとカルボン酸ビオロゲンを新たに設計・合成した。これらビオロゲンも相転移挙動を示した。ヘプチルビオロゲンの挙動との比較から、ビスビオロゲンでは、溶解度の増大とアルキル鎖のミスマッチの可能性にも関わらず、還元状態にあるビオロゲン環間のダイマー化の相互作用が大きいため、双安定領域がヘプチルビオロゲンより拡大すること、および、カルボン酸ビオロゲン環の水素結合が酸性領域で分子間相互作用に大きな寄与をし、双安定電位領域を格段に広くすることが明らかになった。 4.多点電位プローブを自作し、その性能に関して、多点電位検出回路付きポテンシオスタットを用いで基本的なテストを行うことに成功した。 5.蛍光色素共存下でのヘプチルビオロゲンの相転移を追跡したところ、色素共存が相転移を妨害することはないものの、蛍光強度変化は非常に小さいことがわかった。 6.相転移挙動を電位依存動的挙動と捉え、比較のため、金電極上でのデンドリマーの挙動を検討した結果、部分的吸脱着と外殻の配向変化を、電極上で初めて捉えることができた。
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[Publications] Takamasa Sagara: "Characteristics of faradic phase transition of an adsorption layer of heptyl viologen at a basal plane HOPG electrode"Journal of Electroanalytical Chemistry. 524-525・0. 68-76 (2002)
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[Publications] Takamasa Sagara: "Dynamic Dendrimer at Electrified Interface : Potential Dependent Adsorption-Desorption and Reorientation of a 4-Pyridyl-Modified PAMAM Dendrimer"Chemical Communications. 2002・8. 2116-2117 (2002)
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[Publications] 相樂隆正: "電極表面上で機能するデンドリマー"高分子加工. 52・2. 57-62 (2003)