2003 Fiscal Year Annual Research Report
イリジウム触媒の水素移動能を活用する含窒素複素環の触媒的合成法の開発
Project/Area Number |
14550806
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山口 良平 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (40115960)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 健一 京都大学, 大学院・地球環境学堂, 助手 (80293843)
|
Keywords | イリジウム触媒 / アルコール / アミン / N-アルキル化 / 含窒素複素環 / 水素移動反応 |
Research Abstract |
本研究者は有機イリジウム錯体の化学に注目し、その基礎的な性質について検討する中で、Cp^*配位子を有するイリジウム錯体が有機分子間の水素移動反応において極めて高い触媒活性を示すことを見出してきた。昨年度までに、1)アミノアルコール誘導体の水素移動反応を経た環化反応によるインドール及びテトラヒドロキノリン誘導体の合成、2)アルコールとアミンの反応によるN-アルキル化、等の新しい触媒系の開発に成功した。本年度は、これらの成果をさらに発展させた新しい有機合成触媒系の構築に取り組み、以下の成果を得た。 最初に、一級アミンとジオールとの反応による含窒素複素環の合成について検討した。触媒として[Cp^*IrCl_2]_2と塩基の存在下、ベンジルアミンと各種ジオールとの反応によりピロリジン、ピペリジン、アゼパン及びモルホリン等の骨格を有する含窒素複素環を良好な収率で得ることができた。本反応はイリジウム触媒によるジオールのヒドロキシ部位の水素移動型酸化を鍵反応として進行するものであり、合成化学上重要な含窒素複素環を段階で触媒的に得られる点に特長がある。 次に、アルコールを水素源とするキノリン類の移動水素化反応について検討した。触媒として[Cp^*IrCl_2]_2と酸の存在下、2-プロパノールを水素源とするキノリン類の位置選択的な移動水素化反応が良好に進行し、1,2,3,4-テトラヒドロキノリン類が得られた。様々な官能基を有するキノリンを原料に用いても本反応は官能基選択的に進行した。本反応は、入手が容易なキノリン誘導体を原料として、合成化学上重要なテトラヒドロキノリン類の合成を温和な条件の移動水素化反応により達成できることに特長がある。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Ken-ichi Fujita: "Oxidative Cyclization of Amino Alcohols Catalyzed by a Cp*Ir Complex. Synthesis of Indoles, 1,2,3,4-Tetrahydroquinolines, and 2,3,4,5-Tetrahydro-1-benzazepine"Organic Letters. 4巻・16号. 2691-2694 (2002)
-
[Publications] Ken-ichi Fujita: "N-Alkylation of Amines with Alcohols Catalyzed by a Cp*Ir Complex"Tetrahedron Letters. 44巻・13号. 2687-2690 (2003)
-
[Publications] 藤田健一: "Cp*イリジウム錯体を触媒として用いる有機合成反応:新しい水素移動触媒"有機合成化学協会誌. 61巻・7号. 715-721 (2003)
-
[Publications] Ken-ichi Fujita: "Regio- and Chemoselective Transfer Hydrogenation of Quinolines Catalyzed by a Cp*Ir Complex"Tetrahedron Letters. 45巻(in press). (2004)