2002 Fiscal Year Annual Research Report
重合反応場における生成高分子の高次構造制御を基盤とする超分子化合物創製法の開拓
Project/Area Number |
14550830
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
門川 淳一 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30241722)
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Keywords | 重合反応 / 超分子化合物 / 高次構造 / 包接錯休 / 酵素触媒重合 / アミロース |
Research Abstract |
高分子-高分子包接錯体を得る、すなわち高分子化合物の高次構造を制御する新規な手法として重合反応と結びつけた方法を開拓した。この手法のコンセプトは、ホストとなる高分子(この場合はアミロース)を生成する重合反応を適当なゲスト高分子存在下行うことで、生長反応がゲスト高分子鎖に巻き付くように進行し、重合の進行とともに包接錯体が生成するというものである。この場合ホスト分子鎖長が重合の進行によって徐々に長くなるため、初めからホスト分子鎖長が長い場合と比較して包接錯体を形成しやすいと考えられる。本研究者は、このような重合を"つる巻き重合(Vine-Twining Polymerization)"と名付け、高分子の高次構造制御による超分子化合物創製法の新規な手法として提唱した。アミロースはグルコース-1-リン酸(Glc-1-P)をモノマーとするホスホリラーゼによる酵素触媒重合によって合成できることが知られている。本研究では、この重合反応に着目し、この重合を利用して高次構造制御型アミロース-高分子包接錯体を得ることを試みた。その結果、疎水性高分子存在下、Glc-1-Pのホスホリラーゼによる酵素触媒重合を行うと、アミロースの高次構造が制御されながら反応が進行することを見いだした。すなわち、この重合系を用いると様々なアミロース-高分子包接錯体が得られることが分かった。この手法は、アミロースがらせん構造を有することや、保護基などを使うことなく酵素的に合成できることなどの特徴を利用して達成されたものである。本研究で見いだした"つる巻き重合"という手法を、さらに様々な化合物に適用させることで、新しい超分子化合物合成や機能性材料開発の一つの方法論として確立できることが期待される。
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Research Products
(1 results)