2003 Fiscal Year Annual Research Report
ロイシンジッパーでβ-シートを集積化した低分子フィルムの形成
Project/Area Number |
14550831
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山田 哲弘 千葉大学, 教育学部, 助教授 (40182547)
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Keywords | 超分子フィルム / ロイシンファスナー / 水素結合 / β-シート / 塑性加工 / 加圧成形 / オリゴロイシン / ペプチド型両親媒性分子 |
Research Abstract |
平成14年度にはトリロイシン・テトラロイシンを含む両親媒性分子から、ある程度の機械強度と柔軟性を有するフィルムが得られることについてを成果報告した。これらに加え本年度はロイシン数2個の両親媒性分子とロイシン数5個(ペンタロイシン)および6個(ヘキサロイシン)のオリゴロイシン誘導体を用いてフイルム形成能を系統的に調べた。ペンタロイシンとヘキサロイシンを含む分子はクロロホルムをゲル化するがメタノールには不溶である。そこでクロロホルムのゲルにメタノールを加えると、吸引濾過してキセロゲルを得ることができる。このキセロゲルは脆いがカッターナイフで切断できるので、断片を油圧プレスしたところトリロイシンやテトラロイシンを含む両親媒性分子のキャストフィルムよりも機械強度に優れた柔軟なフィルムを得ることができた。脆いキセロゲルが柔軟なフィルムに変化したことは、加圧によって分子配向に何らかの変化が生じたことを意味している。断片を二枚のCaF_2窓材に挟み込み、摺り合わせを繰り返しながらFT-IRスペクトルを測定すると、試料厚は薄くなっていくにもかかわらず、アミドIをはじめとする各吸収帯の吸光度が増大する興味深い結果を得た。ペプチド部分は逆平行β-シートを形成していた。これらの結果はオリゴロイシン誘導体が水素結合してβ-シートを形成し、加圧によって側鎖部分がファスナーのように噛み合うという構造階層性から説明できる。加圧によって原子配列が整う例は金属の鍛造では知られており、高分子化合物が塑性加工できることも周知であるが、低分子量有機化合物での例は知られていなかった。本研究で用いた分子は当然プラスチックのように鋳型成形をはじめとする塑性加工が可能であり、新しい素材になると考えている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 長谷川健: "A Novel Approach of Cartesian-Structure Analysis in Cast Films by Advanced Infrared Multiple-Angle Incidence Resolution Spectroscopy"Anal.Chem.. (印刷中). (2004)
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[Publications] 山田哲弘: "Self-supporting Elastic Film without Covalent Linkages As a Hierarchically Integrated β-Sheet Assemblage"Angew.Chem.Int.Ed.Engl.. 42(44). 5496-5499 (2003)
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[Publications] 中嶋直敏: "超分子科学"化学同人. 496 (2004)