2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14550848
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐藤 尚弘 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10196248)
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Keywords | セルロース誘導体 / 溶液物性 / らせん構造 / 高次構造 / 半屈曲性高分子 / 液晶 |
Research Abstract |
1.測定試料の調製と分子特性解析 以下の測定に使用するセルロース(フェニルカルバメート)(CTC)試料を合成し、分別沈澱法により広い分子量範囲にわたる分子量分布の狭い測定試料を調製した。さらに、光散乱法によって、各試料の分子量、回転半径等の分子特性を決定し、以下の実験における理論との比較の際に用いた。 2.等方-液晶相平衡の研究 (1)CTCのテトラヒドロフラン(THF)濃厚溶液における等方-液晶相境界濃度を、高分子の分子量と温度の関数として求め、既存の理論(尺度可変粒子理論)と比較した。その結果、これまでに剛直性の高い高分子溶液系に適用されてきた同理論は、剛直性のより低いセルロース誘導体溶液に対する相境界濃度も定量的に予言できることがわかった。 (2)CTCのTHF濃厚溶液について、共存した等方-液晶相間の界面張力を静滴法によって測定し、Cuiらの理論と比較した。得られた界面張力には分子量依存性が殆どなく、この点ではCuiらの理論と一致している。ただし、絶対値については理論の予想よりも3倍ほど大きく、理論の不完全さが確認された。 3.動的溶液物性の研究 当初の計画に加えて、溶液中での高次構造形成の動力学的研究における基礎量である拡散係数および粘性について研究を行った。CTCのTHF溶液について、NMR法より得られた自己拡散係数と動的光散乱法より得られた相互拡散係数との間には、屈曲性高分子溶液では成立しないとされているある関係式がよく成立していることが判明した。また、同溶液のゼロずり粘度はfuzzy cylinder理論記述できることがわかった。但し、低分子量CTCについては、分子間流体力学的相互作用の効果が顕著であることが判明した。 なお、溶液中でのらせん構造解析およびコレステリックピッチの研究については現在進行中で、来年度も継続して研究する予定である。
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Research Products
(1 results)