2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14550849
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
榮永 義之 奈良女子大学, 理学部, 教授 (70028257)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩井 薫 奈良女子大学, 理学部, 助教授 (90127423)
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Keywords | ミセル / 界面活性剤 / ポリオキシエチレンアルキルエーテル / 静的光散乱 / 動的光散乱 / 回転半径 / 拡散係数 / 流体力学半径 |
Research Abstract |
本年度は前年度に引き続いて,典型的な非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレンアルキルエーテルC_iE_j(iはアルキル炭素数,jはオキシエチレン基数)が水中で形成するミセルの光散乱法による特性解析を行った。主な研究成果は以下のとおりである. (1)C_<14>E_8,C_<16>E_8およびC_<18>E_8ミセルについて,静的光散乱測定結果からミセル溶液の光散乱理論を用いて有限濃度におけるミセルのモル質量を始めて決定した。これらの解析,回転半径とモル質量の関係ならびに動的光散乱測定から得た流体力学半径とモル質量の関係より,これらのミセルがWormlike Spherocylinder Modelで表せる紐状の形態をとっていること,さらにミセルの太さと長さ,屈曲性,ミセル中における界面活性剤分子の配列に関する構造を明らかにした。 (2)水溶液中におけるC_<16>E_7,C_<18>E_7ミセルについて,(1)と同様の研究を行い,有限濃度におけるミセルのモル質量,回転半径ならびに流体力学半径を求めた。その結果,これらのミセルも屈曲性円筒状の形態をとっていることが解った。また,C_<18>E_7ミセルはC_<16>E_7ミセルに比べて温度の上昇に伴ってより長く成長することを見出した。 (3)C_<12>E_7ミセルについて,上記と同様の実験を行い,このミセルの形態も屈曲性円筒状であることを見出した。また,ミセルの太さ,長さ,およびミセル中での界面活性剤分子の配置等ミセルの構造を決定した。 (4)以上の研究より,C_iE_jミセルはいずれもかなりの屈曲性をもつ円筒状であり,温度あるいは濃度上昇によって長く成長すること,その成長は疎水基が長い(iが大きい)ほど著しいことが判明した。また,ミセル断面の直径は約2.4〜3.0nm,ミセル表面の親水基間距離は約1.2〜1.5nmで,iとjの値によってそれほど大きくは変化しないことも解った。なお,C_iE_jミセル水溶液は下限臨界共溶点を持つ相分離を示すがその温度と濃度はiが大きいほど低く,jが大きいほど高くなることを定量的に見出した。
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