2002 Fiscal Year Annual Research Report
新しい液晶高分子電解質の構築および液晶ナノ構造の解析・制御
Project/Area Number |
14550850
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
氏家 誠司 島根大学, 総合理工学部, 助教授 (40185004)
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Keywords | 液晶 / 高分子電解質 / 両親媒性 / 配向構造制御 / スメクチック / X線回折測定 / 液晶重合 / イオン伝導性 |
Research Abstract |
本年度は新規両親媒性液晶の合成,対アニオンの液晶構造への影響,液晶性,分子配向構造およびイオン伝導性の評価を行った. イオン伝導性発現に効果的であると考えられるポリオキシエチレン鎖単位を有する液晶化合物を合成した.水素結合性原子団であるヒドロキシル基などを導入しない場合,液晶形成能は低く,液晶状態は低い温度範囲で形成された. イオン伝導性に顕著な影響を与える対アニオンの効果を調べた.イオン伝導性を向上させることが知られている対アニオン(ClO_4^-,BF_4^-あるいはC_2F_5SO_2^-など)を用いた系では,ハロゲンイオンなどを対アニオンとする系に比べ液晶性が著しく低下した.これは液晶状態におけるパッキングを乱すことによるものと考えられる.これらの系では転移温度も低下し,室温で液晶状態や液体であるため,配向薄膜とするには架橋化反応などを行う必要があると考えられる. 高分子液晶の骨格主鎖としては,ポリメタクリレート鎖,ポリエチレンイミン鎖およびポリシロキサン鎖を用いたが,ポリシロキサン鎖を導入した両親媒性の系は液晶性を示さず,室温で高粘性液体であり,液晶配向をもつイオン伝導性材料にはあまり適さないことがわかった.ポリエチレンイミン鎖を骨格主鎖とする系が最も液晶形成能が高く,均一な配向構造を形成した.これはポリエチレンイミン鎖が,スペーサであるポリオキシエチレン鎖とともに親水基として働き,疎水基であるコレステロール誘導体部位とミクロ相分離するためと考えられる. ポリオキシエチレン鎖とコレステロール単位からなる両親媒性中分子量液晶(C1)は,スメクチックA相を形成した.C1に過塩素酸カリウムを添加した複合系もスメクチックA相を形成した.この複合系の液晶状態でのイオン伝導度は10E-4であった.高分子系の室温でのイオン伝導度は,10E-5程度であり,実用性のためにさらに構造制御やイオン種の検討が必要であることが明らかになった.
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Seiji Ujiie, Yumi Yano, Akira Mori, Kazuyoshi Iimura: "Preparation of LC monodomain structure in polymer systems"Proc. of SPIE. 4799. 148-159 (2002)