2002 Fiscal Year Annual Research Report
陽電子ビームによる金属基板上のエポキシ樹脂薄膜自由体積の研究
Project/Area Number |
14550853
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Research Institution | The High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
鈴木 健訓 高エネルギー加速器研究機構, 放射線科学センター, 教授 (40162961)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沼尻 正晴 高エネルギー加速器研究機構, 放射線科学センター, 助手 (20189385)
三浦 太一 高エネルギー加速器研究機構, 放射線科学センター, 助手 (80209717)
近藤 健次郎 高エネルギー加速器研究機構, 共通研究施設, 教授 (20004434)
何 春清 高エネルギー加速器研究機構, 放射線科学センター, COE研究員
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Keywords | 陽電子消滅 / ポジトロニウム / パルス化 / 薄膜 / 高分子 / 多層膜 / 多層膜境界面 / 低速陽電子 |
Research Abstract |
陽電子消滅法の手法の中で陽電子寿命測定法(PALS)は、金属の欠陥や高分子の空隙の大きさを定量的に推定する上で、重要な手法である。低速陽電子ビームを用いると表面や薄膜中に存在する高分子空隙を測定することが出来るので、半導体技術に欠かせない半導体表面の被膜特性を測定することが可能である。高分子バルク硬化物の自由体積は、例えばエポキシ樹脂を例に考えると、樹脂と各種硬化剤とを重合した場合、硬化剤の特徴(化学構造、立体構造)によって、網目状に発達した高分子間に存在する空隙(自由体積)の大きさが異なる。このような空隙の特徴は、通常の方法では測定困難であるが、PALSを用いることによって標準的な、空隙サイズの変化を測定することが可能である。また、金属表面に被覆した高分子膜の自由体積を測定しようとした場合、非破壊で測定するとは困難である。本研究で独自に開発した短パルス化低速陽電子ビーム装置を用いると、基板(Si等)表面上に塗布した50ナノメータ(nm)〜数ミクロン厚さのエポキシ樹脂薄膜の自由体積を求めることが可能である。本研究では、この装置を用いて、基板上の薄膜の温度特性を求めた。本装置は、放射性同位元素を用いた短パルス化低速陽電子発生装置で、ビームの半値幅が0.5〜0.6nsであり、金属のPALSには不十分であるが、高分子材料の表面の研究を行なうには十分な性能である。この装置は、小型且つ安価な装置で、小さな化学実験室の実験テーブルに乗り、時間の制限無く自由に使える装置であり、通常の分析機器のように測定が可能である。本研究の目的の一つは、このような条件を満たす低速陽電子短パルス化装置を開発することにあり、現在では、改良の余地を残しているが、高分子材料の測定に使い、薄膜表面のガラス転移点などを分子的視点から測定が可能になった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 松生勝, 鈴木健訓, 他: "Characteristics of ultra-drawn polyethylene films as a function of temperature estimated by the positron annihilation lifetime method"Macromolecules. 35. 3059-3065 (2002)
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[Publications] 何春清, 鈴木健訓, 他: "Molecular motions at low temperature observed by positron annihilation"Physics Letters. A304. 49-53 (2002)
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[Publications] 熊木尚, 鈴木健訓, 他: "低速陽電子短パルス化装置を用いた表面自由体積の研究"ネットワークポリマー. 23. 24-31 (2002)
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[Publications] Goworek T., 鈴木健訓, 他: "On possible deviations of experimental PALS data from positronium pick-off model estimates"Chemical Physics. 280. 295-307 (2002)
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[Publications] H.Uchiyama, T.Suzuki: "The study of 1/1-AlCuRuSi approximate phase by positron annihilation method"Journal of Alloys and Compounds. 342. 153-155 (2002)
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[Publications] V.Shantarovich, T.Suzuki, 他: "Positron annihilation study of hyper-cross-linked polystylene networks"Macromolecules. 35. 9723-9729 (2002)