2003 Fiscal Year Annual Research Report
船体構造材料の計算力学的き裂形成寿命推定法に関する研究
Project/Area Number |
14550859
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大沢 直樹 大阪大学, 工学研究科, 助教授 (90252585)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 聖史 大阪大学, 工学研究科, 助手 (50183554)
冨田 康光 大阪大学, 工学研究科, 教授 (30029251)
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Keywords | 疲労 / 有限要素法 / 繰返し塑性 / 結晶塑性 / 二相鋼 / き裂 |
Research Abstract |
造船用鋼材の相組織と疲労強度の関係の計算力学的解析を可能とすることを目的に,前年度に開発したボロノイ多結晶FEモデル生成プリプロセッサシステムを拡張して,結晶粒内にき裂が存在する多結晶FEモデルの作成機能を追加するとともに,開発システムにより,き裂端がある軟相結晶粒と,周辺硬相結晶粒の幾何学的関係を変化させたFEモデルを生成して繰返し塑性変形挙動を計算し,き裂端まわりの繰返し塑性変形に及ぼす周辺硬相結晶粒の影響を調べた.その結果,以下の知見を得た. 1)平均粒径10μm,応力拡大係数範囲ΔK=2MPa√mの条件では,軟相粒中央部にき裂端がある場合の変形場は,軟相のみの単相材の場合とほとんど同じで,き裂進行方向に45°の角度をなす左右対称な剪断帯が形成される.しかし,き裂端が硬相境界に接近すると剪断帯のなす角が鈍角となり,塑性歪が隣接する硬相を避けるように偏在する.この場合,モードIのき裂進展が阻害され,塑性歪が偏在した方向へのモードIIのき裂進展が生じやすくなる. 2)き裂前方の硬相部にスリット状の軟相部がある場合は,き裂端が硬相境界に接近しても,き裂端近傍の変形場は軟相のみの単相材の場合とほとんど同じになる. 3)き裂伝播速度に深く関係するとされるサイクルあたり塑性仕事を評価すると,軟相粒中央部にき裂端がある場合より,き裂端が硬相境界に接近した場合の値が小さくなる. これらの計算結果は,き裂が軟相から硬相に進行する場合に粒界近傍で伝播速度減少が生じる,二相材ではき裂が硬相境界に沿って硬相を迂回する傾向がある,硬相にスリットの切れ目があるとき裂がそこを通って進展する,との実験事実を定性的に説明できる.
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Research Products
(1 results)