2004 Fiscal Year Annual Research Report
環境ストレス耐性に関連した翻訳開始因子の同定とその発現機構の解析
Project/Area Number |
14560006
|
Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
長谷川 博 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (00090457)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入江 俊一 滋賀県立大学, 環境科学部, 助手 (30336721)
奥本 裕 京都大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (90152438)
|
Keywords | イネ / 突然変異 / セシウム抵抗性 / 翻訳開始因子 / eIF5A / 3'-UTR / 環境ストレス / リアルタイムPCR |
Research Abstract |
イネにおけるeIF5Aの発現とセシウム抵抗性の関係を、eIF5Aの3'-UTRに変異があるセシウム抵抗性突然変異系統(CSR系統)と原品種日本晴を用いて、リアルタイムPCR法により調べた。その結果は以下の通りである。 20μMのセシウム処理を播種後20日目の幼植物に行ったところ、eIF5Aの発現量は葉より根で大きいこと、CSR系統の発現量には系統間差異があり、日本晴と同程度の系統から、日本晴の数倍を示す系統まであった。根におけるeIF5Aの発現量を処理開始より経時的にみたところ、日本晴は時間とともに発現量が増加するが、CSR系統では処理後1時間でいったん極大となり、その後24時間目に急増した。一方、葉におけるeIF5Aの発現量は処理後6〜12時間目で多く、24時間後には減少した。 根と葉におけるセシウム含量を調べたところ、セシウムは葉へはほとんど移動せず、根に留まっていることが認められた。根におけるセシウム含量のセシウム処理開始後の変化はCSR系統と日本晴の間で差異があった。すなわち、日本晴ではセシウム含量が処理時間とともに増大するのに対して、CSR系統は処理1時間後で最大となり、その後減少傾向にあった。この傾向は根におけるの発現量の時間的変化と対応していた。 以上の結果はeIF5Aの変異が直接セシウム抵抗性に結びつくものではないが、eIF5Aの発現がセシウム抵抗性に何らかの影響を及ぼしていることを示すものである。また、eIF5Aがストレス状態にある細胞で作用しているという報告を考えれば、本実験結果は塩分ストレスや重金属ストレス条件にも適用できるものと思われる。eIF5Aがどのようにセシウム等への抵抗性と結びついているかは今後の課題として残った。
|