2003 Fiscal Year Annual Research Report
ダイズにおける"青立ち"発生の環境的・遺伝的要因の解明
Project/Area Number |
14560011
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
白岩 立彦 京都大学, 農学研究科, 助教授 (30154363)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中崎 鉄也 京都大学, 農学研究科, 助手 (60217693)
|
Keywords | ダイズ / 青立ち / 温度 / 窒素 / シンク / ソース / RIL / 老化 |
Research Abstract |
本研究は、窒素動態に関するself destructionの概念を基礎としながら、窒素の再転流速度、窒素固定活性、発育の3者の環境反応および遺伝的変異を解析し、青立ち発生の環境的・遺伝的要因を明らかにすることを目的としている.本年は,生殖生長期間の土壌水分が窒素動態と青立ちの発生に及ぼす影響を制御環境下で調査するとともに,昨年度に引き続き組替え型自殖系統群の青立ち発生状況を調査した. 1.土壌水分がダイズの窒素動態および青立ち発生に及ぼす影響 温度傾斜型チャンバー(W2m×L25m)内でダイズ品種タチナガハを群落栽培した.開花期以降の温度条件を,外気温〜外気温+約4℃の範囲で3段階設定するとともに各温度区に土壌水分を圃場容水量の約70%に維持する区(適湿区)と適湿区の約50%の土壌水分を維持する区(乾燥区)を設定した.青立ち発生程度は.温度条件による違いは示さなかったが,適湿区のそれは乾燥区よりも明らかに高くなった.乾燥区の窒素固定速度は子実肥大後半に大きく低下したが適湿区では相対的に高く維持され,それにともなって茎葉部の窒素濃度が成熟期においても高くなった.これらより,青立ちの発生には子実肥大期間の窒素固定活性の推移が関わることが示唆された. 2.青立ち発生の遺伝的要因の調査 昨年度に引き続き,RIL係統群(96系統)を圃場栽培し青立ち発生程度の調査を実施した.本年も青立ち発生程度に有意な系統間差異がみられた.本RIL系統群には成熟期の早晩に約1ヶ月もの変異が存在するが,同様の早晩性を持つ系統群ごとにみても2年次の結果の間に密接な相関がみられた.このことから、早晩性とは関連しない(よって生殖成長期間の環境条件とは基本的に無関係な)遺伝的変異が、莢先熟の発生程度には存在するものと考えられた.
|
Research Products
(2 results)