2004 Fiscal Year Annual Research Report
葯培養によるユリのウイルスフリー球の生産とそのメカニズムの解明
Project/Area Number |
14560020
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Research Institution | NIIGATA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
新美 芳二 新潟大学, 農学部, 教授 (20018790)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
韓 東生 新潟大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (20313554)
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Keywords | ユリ / 葯培養 / カルス形成 / ウイルスフリー / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
1.葯培養によるカルス誘導および子球再生のための培養法について 以前の研究結果は葯の維管束にウイルスが局在することを示した.ウイルスフリー球を効率よく作出するために,ウイルスが局在するユリ品種‘エンチャントメント'の葯維管束を除去し,葯壁部からのカルス誘導を試みた.その結果,カルス誘導率が低下し,誘導されたカルスも褐変しやすく,カルス増殖および子球再生は困難であることがわかった. ユリ品種‘カサブランカ'の葯培養に及ぼす培地(ショ糖と無機塩濃度)および培養方法(固形と液体振とう培養)の影響を検討した.1/2MS+6%ショ糖とMS+9%ショ糖の固形培地のみにおいてカルスが誘導された. 2.器官別ウイルスの相対濃度と培養物内のウイルスの局在性に関する調査 葯培養によるウイルスフリーのメカニズムを解明するために,ユリ品種‘エンチャントメント'の葉片,葯,花糸,子房,葯壁由来の黄色カルス,葯と花糸の接合部からの白色カルスおよび花糸由来のカルスにおけるLSVとCMVの相対濃度(吸光度)をELISA法で測定し,また,培養期間中各種類カルスのなかのLSVとCMVの分布を免疫組織化学染色法で観察した. (1)ウイルスの相対濃度 LSVでは,葉片と花糸よりも葯と葯由来のカルスのほうが低い濃度を示した.CMVでは,花糸は一番高い濃度を示したが,その他はほぼ同程度であった. (2)ウイルスの局在性 葯壁由来の黄色カルスでは,ウイルスがほとんど検出されなかったが,葯と花糸の接合部からの白色カルスおよび花糸由来のカルスでは多数ウイルスの局在が確認された. 3.ウイルスフリー個体作出の効率化について 外植体と培養期間がユリ品種‘エンチャントメント'のウイルスフリー球の作出効率に及ぼす影響を検討した.白色カルスと花糸カルスに比べて,黄色カルスとこのカルスから再生した子球はウイルス検出率が低かった.いずれの外植体において,培養期間が長いほどウイルス検出率が減少した.黄色カルス由来子球はウイルス検出率が最も低く,順化6ヶ月後もウイルスフリー状態を保持した.
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