2002 Fiscal Year Annual Research Report
糖性物質の溢泌を司る鍵物質としてのジャスモン酸類に関する研究
Project/Area Number |
14560030
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
宮本 健助 大阪府立大学, 総合科学部, 助教授 (10209942)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 純一 大阪府立大学, 総合科学部, 教授 (40109872)
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Keywords | ジャスモン酸類 / 溢泌 / ガム物質 / 糖類 |
Research Abstract |
我々は、高等植物において多面的生理作用を有するジャスモン酸類が、細胞伸長阻害や離層形成促進を始めとする種々の生理現象において糖代謝制御を介して機能し、生理活性を発揮することを示唆してきた。本研究において特に果樹や花卉園芸において重要な問題となるガム物質等の糖質の溢泌現象に着目し、ジャスモン酸類の関与を検討した。 (1)多肉植物のCrassula lycopodioidesやKalanchoe tubifloraにジャスモン酸類(JA-Me)を投与すると、著しい離層形成が誘導され、短期間内にほとんどの葉が脱離すること、さらに、脱離した葉の脱離部そして葉が着生していた茎部域から溢泌が起こることを見いだした。この離層形成促進は、一般的な植物におけるジャスモン酸類の離層形成促進に比べ際だっており、多肉植物がジャスモン酸類の生理作用機構研究に有効であることを示した。また、化学組成を調べた結果、溢泌物が、主としてショ糖から構成されていること、また、カリウムおよびナトリウムを多く含むことを明らかにし、師管由来であることを示唆した。さらに、この器官脱離部からの溢泌は物理的な葉の除去では認められず、ジャスモン酸類による特異な現象であることを示唆した。これらの成果をActa Physiologiae Plantarumに発表した。 (2)チューリップ及びバラ科植物を対象に、ガム物質誘導におけるジャスモン酸類と他の植物ホルモン類との相互作用について検討を行っており、ジャスモン酸類が特にエチレンおよびオーキシンと相互作用を示すことが示唆された。現在、化学分析など詳細な解析を実施しているが、バラ科植物のアンズのガム組成に関する結果についてはActa Agrobotanicaに、さらにこれらの知見を踏まえたホルモン相互作用に関した総説をActa Physiologiae Plantarumに発表した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Saniewski M., Ueda J., Horbowicz M., Miyamoto K., Puchalski J.: "Gum in apricot (Prunus armeniaca L.) shoots induced by methyl jasmonate"Acta Agrobotanica. 54. 27-34 (2002)
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[Publications] Ueda J., Miyamoto K., Saniewski M., Hoshino T., Utsumomiya M., Okubo H.: "Chemical compositions of exudates from succulent plants induced by methyl jasmonates"Acta Physiologiae Plantarum. 24(2). 187-194 (2002)
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[Publications] Saniewski M., Ueda J., Miyamoto K.: "Relationships between jasmonates and auxin in regulation of some physiological processes in higher plants"Acta Physiologiae Plantarum. 24(2). 211-220 (2002)