2003 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム情報を利用した糸状菌ヒスチジンキナーゼ解析と殺菌剤探索への応用
Project/Area Number |
14560045
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
藤村 真 東洋大学, 生命科学部, 教授 (50297735)
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Keywords | ヒスチジンキナーゼ / ゲノム情報 / アカパンカビ / 浸透圧応答 / シグナル伝達 / 殺菌剤 / 植物病原菌 |
Research Abstract |
糸状菌であるアカパンカビのゲノムに存在する11種類のヒスチジンキナーゼ(HK)遺伝子の破壊株を平成14年度の5種類に加え、本年度さらに3種類のHK破壊株(NcHKPHYA,NcHK3.90,NcHK3.611)を取得した。単離した計8種類のHK遺伝子破壊株の形質として、生育速度、形態形成、交配能、浸透圧ストレス、酸化的ストレス、栄養飢餓、ヒートショックや各種薬剤に対する感受性について調べた。しかし、os-1破壊株以外は顕著な形質が認められなかった。このことから、糸状菌のHK遺伝子には機能重複があり、単独遺伝子の破壊では顕著な形質を示さないと考えられた。そこで交配による多重破壊株を効率的に作成するために、各破壊株のRIP変異を検出するプライマーを作製した。各破壊株の検出プライマーは、それぞれのRIP変異HK遺伝子のみをPCRで検出可能であることが判明した。この系を用いて、まず、os-1/NcSLNの二重破壊株を作成しその形質を調べたところ、os-1変異株より高い浸透圧感受性が認められ、os-1とNcSLN間には浸透圧調節で相互作用があることが判明した。今後さらに多重破壊株を作成し、これらのHK遺伝子の機能を解明する予定である。 多くのHK遺伝子破壊株が形質を示さなかったことから、殺菌剤の標的となるHKを選抜できなかった。そこで、ヒスチジンキナーゼの下流で制御されている遺伝子をリアルタイム定量PCRを用いて解析した。その結果、NcCTT(カタラーゼ)とNcGLD(グリセロール合成系酵素)遺伝子の発現がOS-MAPキナーゼカスケードに依存して調節されていることが明らかになった。NcCTT(カタラーゼ)のプロモーター解析をおこなっており、今後、このプロモーターとレポーター遺伝子を用いたヒスチジンキナーゼ阻害剤スクリーニング系の構築について検討する。
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