2002 Fiscal Year Annual Research Report
植物型レクチンの特異な高次構造と多機能発現機構に関する蛋白質工学的研究
Project/Area Number |
14560065
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
畑 安雄 京都大学, 化学研究所, 教授 (10127277)
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Keywords | アメリカヤマゴボウ / レクチン / 結晶構造 / キチン結合ドメイン / 糖結合能 / 細胞分裂誘発能 |
Research Abstract |
アメリカヤマゴボウの根から単利された5種のレクチン(PL-A, PL-B, PL-C, PL-D1, PL-D2)は、保存された4本のジスルフィド結合を含む約40アミノ酸残基から成るドメインが複数個つながった構造を採っており、その立体構造と活性の関係に興味が持たれている。これらのうち、ドメイン2個からなるPL-D2(82残基、MW=9,066)とそのC-末端に2残基(Leu83-Thr84)付加されたPL-D1(84残基、MW=9,317)の立体構造をX線結晶解析で決定した。PL-D1は30%PEG8000を沈澱剤とした蒸気拡散法で、一方PL-D2は18%PEG8000を沈澱剤としたバッチ法でそれぞれ異なる空間群の結晶を得た。この結晶に対してPFの放射光源から得られるX線を用いてPL-D1では分解能1.6Å、PL-D2では分解能1.5Åまでの回折データを収集した。PDBから座標を得たWGA3を初期モデルとする分子置換法でPL-D2の構造を、その構造を用いてPL-D1の構造を得た後、両構造モデルを精密化して最終構造を行った。両タンパク質を構成するドメインの構造はほぼ一致しているが、一方、リンカー部は柔軟性を有していてそれによりドメイン間の関係に違いが観られる。これは結晶中での分子間相互作用による環境の違いを反映していると考えられる。また、PL-D1のC-末端3残基はX線結晶構造解析では観察されなかった。これは、PL-D1においてC-末端に付加された2残基が分子表面で揺らいでいる為と考えられる。PL-D2は細胞分裂誘発能を示すのに対してPL-D1はこれを示さないのはC-末端に付加された2残基が分子表面に出ているからであると考えられることから、C-末端付近に細胞分裂誘発に係る部位があると推定される。
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