2003 Fiscal Year Annual Research Report
植物型レクチンの特異な高次構造と多機能発現機構に関する蛋白質工学的研究
Project/Area Number |
14560065
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
畑 安雄 京都大学, 化学研究所, 教授 (10127277)
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Keywords | アメリカヤマゴボウ / レクチン / キチン結合ドメイン / タンパク質間相互作用 / タンパク質-糖間相互作用 / 糖結合能 / 結晶構造 |
Research Abstract |
アメリカヤマゴボウ根茎に含まれている五種のレクチンのうちPL-CとPL-D2糖鎖複合体の立体構造をX線結晶解析により決定し、分子間相互作用とレクチン機能との関係について考察した。PL-Cの結晶はハンギングドロップ蒸気拡散法とマクロシーディング法の併用により二種の結晶が得られたがいずれも双晶であった。添加剤として0.5%ジオキサンを加える事で2.0M硫安を含む0.1M酢酸マトリウム緩衝液(pH4.6)から単結晶が得られた。位相決定のために二種の重原子同型置換体結畠も調製した。PL-D2糖鎖複合体は、PL-D2溶液に3倍量のトリ-N-アセチルキトトリオースを加えて調製した後、20%PEG8000と0.2M酢酸マグネシウムを含む0.1Mカコジル酸ナトリウム緩衝液(pH 6.5)を沈澱剤としたハンギングドロップ蒸気拡散法で結晶を得た。放射光施設でX線解析可能なデータを高分解能まで収集した。既に決定したPL-D2の構造を初期モデルとしてPL-D2糖鎖複合体の構造を決定した。PL-Cの構造解析は、重原子同型置換法を適用して行った。三個のキチン結合ドメインからなるPL-C鎖は糖結合残基を利用したサブユニット間相互作用でhead-to-tail型のユニークな二量体を形成し、糖鎖結合部を塞ぐことで糖結合能を失っていることが分かった。一方、PL-D2糖鎖複合体は、結晶中で21-らせん対称で関係づけられる二個のPL-D2分子間で一個の糖分子を共用するユニークな複合体を形成していた。PL-C分子内で観られるタンパク質間相互作用は、PL-D2糖鎖複合体で観られるタンパク質-糖鎖間相互作用と類似しているものの、それより強い相互作用である事が明らかになった。この二種の相互作用の類似性は、レクチン機能を制御するペプチド性薬剤をデザインする上で重要な構造情報を与えるものである。
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[Publications] Minoru Hayashida: "Crystallization and Preliminary X-ray Analysis of Lectin C from the Roots of Pokeweed (Phytolacca Americana)"Acta Crystallographica Section D. D59. 1249-1252 (2003)
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[Publications] Minoru Hayashida: "Similarity between Protein-Protein and Protein-Carbohydrate Interactions, Revealed by Two Crystal Structures of Lectins from the Roots of Pokeweed"Journal of Molecular Biology. 334. 551-565 (2003)
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[Publications] Tomomi Fujii: "Structures of Two Lectins from the Roots of Pokeweed (Phytolacca Americana)"Acta Crystallographica Section D. D60. 665-673 (2004)