2004 Fiscal Year Annual Research Report
ビルトイン型キノン補酵素生成機構の解明と複合型触媒抗体への応用
Project/Area Number |
14560066
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡島 俊英 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (10247968)
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Keywords | 銅含有アミン酸化酵素 / X線結晶解析 / キノン補酵素 / 人工酵素 |
Research Abstract |
多くの酵素は補欠分子族として、低分子有機化合物からなる補酵素を含有しており、補酵素によって、触媒しうる化学反応のレパートリーを広げるとともに、その効率を飛躍的に向上させている。本研究の目的は、このような補酵素を含有する複合型酵素の設計原理を解明するとともに、新規な人工酵素のデザインに応用することにある。 1.TPQとは異なるリジルチロシルキノン様のキノン補酵素を期待して作成したD298K変異型アミン酸化酵素のX線結晶構造解析を行った。アポ酵素として生成し、その後銅イオンを添加することによって活性化すると、TPQとは異なる450nm付近に吸収極大をもつクロモフォアが形成されていた。精密な構造解析の結果、382位のチロシンのベンゼン環2位にLys298が共有結合しており、C2-Nεの結合がイミノ二重結合であることが判明した。この化学構造から予想されるクロモフォアの吸収極大波長は、実際の値とも矛盾しない。予定していたリジルチロシルキノンではなかったが、これまでにはない新規なキノン様補酵素の生成に成功した。 2.Tyr382をCysに変換したY382C変異型アミン酸化酵素を構築した。コンポジット型キノン補酵素を導入する目的で、2-Mercaptophenol、3-Mercaptophenol、および4-Mercaptophenolを添加し、銅イオン存在下補酵素キノン生合成過程を調べた。その結果、Mercaptophenolの吸収体と重なって、キノン様の吸収の存在は不明確であったが、微弱な酵素活性が認められた。銅イオン非存在下では活性がなかったことから、何らかの補酵素が生成し、その結果、酵素活性が生じたことが示された。 以上の結果は、複合型触媒抗体を含む人工酵素の構築にも応用しうる方法論と分子基盤を与えた。
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Research Products
(1 results)