2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14560098
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
井上 和生 京都大学, 農学研究科, 助手 (80213148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
都築 巧 京都大学, 農学研究科, 助手 (50283651)
河田 照雄 京都大学, 農学研究科, 助教授 (10177701)
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Keywords | TGF-β / ノルアドレナリン / ドーパミン / セロトニン / マイクロダイアリシス / 2瓶選択 / 甘味嗜好性 |
Research Abstract |
1.TGF-βの脳に対する作用機構の検討 (1)神経伝達物質の代謝回転の変化 TGF-βの脳内投与によって動物に疲労したような行動が引き起こされることから、その脳に対する作用を脳の各部位における神経伝達物質の代謝回転の変化により検討した。大槽カニューレよりTGF-βを投与するとノルアドレナリンについては間脳、橋・延髄、線条体、小脳で、ドーパミンについては間脳と橋・延髄で、セロトニンについては橋・延髄と線条体でその代謝回転が上昇することを見いだした。 (2)TGF-βが神経に及ぼす作用の神経化学的検討 上記神経伝達物質代謝回転の変化を、ニューロン細胞外へ放出される伝達物質濃度を直接測定するマイクロダイアリシスで検討した。大槽にTGF-βを投与すると海馬でセロトニン放出量が増大し、視床下部外側野ではセロトニン濃度の減少、およびドーパミン濃度の上昇が観察された。これらの結果より、運動時などに増大する脳内TGF-βは脳に対して直接作用し、疲労様の行動を引き起こしていることが考えられる。 2.TGF-βの脳内投与が甘味嗜好性の変化に及ぼす効果についての検討 運動後に甘いものが欲しくなる現象が動物モデルでも再現できることを明らかにした。2瓶選択できるよう訓練したマウスにキサンタンガムでテクスチャーをマスクした5%スクロース溶液と1%コーンオイル溶液を与えると両者を等量摂取するが、30分の水泳運動を負荷すると5%スクロース溶液を有意に多く摂取した。さらに安静状態のマウス大槽にTGF-βを投与し、2瓶摂取させると5%スクロース溶液を有意に多く摂取することから、脳内TGF-βが運動後の甘味嗜好性の変化に関与していることが予想された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Arai, M.et al.: "Effects of intracranial injection of transforming growth factor-beta relevant to central fatigue on the waking electroencephalogram of rats. Comparison with effects of exercise"Prog.Neuro-Psychopharmacol.Blol.Psychiatry. 26. 307-312 (2002)
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[Publications] 井上和生: "運動時における栄養素代謝並びに疲労感の発生機序に関する研究"日本栄養・食糧学会誌. 55. 111-117 (2002)
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[Publications] Yamazaki, H.et al.: "Intracranial administration of transforming growth factor-beta 3 (TGF-b3) increases fat oxidation in rats"Am.J.Physiol.Endocrinol.Metab.. 283. E536-E544 (2002)
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[Publications] 井上和生: "中枢性疲労の発生と脳内TGF-β"医学のあゆみ. 203. 319-324 (2003)
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[Publications] 井上和生(分担): "脳と栄養 -行動の分子碁盤を求めて-"斉藤昌之,鳥井邦夫,青山頼孝編集(建帛社). 255 (2003)