2002 Fiscal Year Annual Research Report
ユーカリポリフェノールの腸管フルクトース吸収抑制作用と肥満予防・糖尿病改善効果
Project/Area Number |
14560107
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
乾 博 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 助教授 (20193568)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 長久 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 教授 (20081581)
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Keywords | スクロース摂取 / 高脂血症 / 肥満 / 脂質合成の活性化 / 腸管フルクトース吸収 / スクラーゼ阻害 / ポリフェノール / ユーカリ |
Research Abstract |
ユーカリの葉には加水分解性タンニンを中心に多様なポリフェノール類が含まれおり、多彩な生理活性が報告されている。申請者らはポリフェノール類を多く含むユーカリの葉の抽出物をラットの飼料中に1%添加すると、通常食(スターチ食)では何ら影響が見られないが、高スクロース食に起因した血清および肝臓中のトリグリセリドレベルの上昇、さらに体重増加が有意に抑制されることを明らかにしている。さらに、その原因について検討し、腸管におけるフルクトース吸収がユーカリ葉抽出物により阻害されるごとを見いだしている。 本研究では、この現象についてさらなる詳細な検討を進めた。高スクロース食中に添加するユーカリ葉抽出物の量を変化させたところ、肝臓トリグリセリドレベルは用量に依存して減少し、0.03%添加でも有意な影響が観察された。次にフルクトース代謝に重要な肝臓のケトヘキソキナーゼ活性を調べたところ、スクロース食に起因した活性の上昇はユーカリ葉抽出物により有意に抑制された。同様に、脂肪酸合成に関わるグルコース6-リン酸デヒドロゲナーゼの誘導もユーカリ葉抽出物により抑制されていた。以上の結果から、ユーカリ葉抽出物を投与すると、体内へのフルクトースの取り込みが減少し、結果的に脂肪合成の活性化が抑制されていることが裏付けられた。 腸管におけるスクラーゼの作用を阻害しても、同様にフルクトースの利用性を抑制することができる。そこでユーカリ葉抽出物のスクラーゼ阻害作用について調べたところ、阻害活性が見いだされた。しかし、その阻害活性は既知の阻害剤(カテキン、エピガロカテキンガーレート)と比較して低く、ユーカリ葉抽出物の抗肥満効果に重要ではないと考えられた。
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