2003 Fiscal Year Annual Research Report
日本産フトミミズ類の森林土壌における生態系機能の解明
Project/Area Number |
14560117
|
Research Institution | FACULTY OF ENVIRONMENT AND INFORMATION SCIENCES, YOKOHAMA NATIONAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
金子 信博 横浜国立大学, 大学院・環境情報研究院, 教授 (30183271)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 雅道 横浜国立大学, 大学院・環境情報研究院, 助教授 (20201931)
|
Keywords | 陸棲貧毛類 / 安定同位体比 / 分解系 / 消化酵素 / 土壌有機物 / 土壌動物 |
Research Abstract |
日本産の大型ミミズ類はフトミミズ科のミミズが優占しているが,フトミミズ科ミミズの生活史および生態系機能については研究例が少ない.神奈川県の2箇所の森林土壌で定期調査により生活史を調べた.表層性種は卵で越冬し,6から7月にかけて急速に成長し,夏ごろに繁殖をして死亡する1年生の生活史をもち,地中性種は成虫や幼虫で越冬し,夏に繁殖をする多年生の生活史を持っていた.北海道大学苫小牧研究林では表層性種がフトミミズ科で,地中種はツリミミズ科であり,生活史は神奈川と同様であった.北海道,神奈川,そして沖縄本島北部の森林土壌で大型ミミズと落葉,土壌の炭素・窒素安定同位体比を調べた.落葉から土壌の深い層にかけて,炭素・窒素とも同位体比が高くなった.また,ミミズは生活史と安定同位体比が対応しており,表層性種は落葉や腐植層,地中性種は表層の鉱質土壌を餌としていることがわかった.沖縄で地中に坑道を掘り,地中に生活するヤンバルオオフトミミズは低い安定同位体比を持ち,落葉食が確かめられた.いくつかの種の消化酵素の解析から表層種に比べて地中種の消化管内の方が酵素活性が高く,表層性種は易分解性の有機物を利用しているのに対し,地中性種は消化酵素を活用して難分解性の有機物を餌として利用していることが示唆された.
|
Research Products
(1 results)