2004 Fiscal Year Annual Research Report
持続的経営林としての帯状複層林の可能性評価と動態予測
Project/Area Number |
14560122
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
溝上 展也 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (00274522)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 哲 宮崎大学, 農学部, 助教授 (00231150)
井上 昭夫 鳥取大学, 農学部, 助手 (80304202)
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Keywords | 群状択伐 / 帯状択伐 / 針葉樹人工林 / 生産力 / 生物多様性 / 光環境 |
Research Abstract |
本研究の目的は、樹高程度の帯幅で伐採が行われる帯状・群状複層林の成長、収益性、生物多様性を明らかにし、持続的経営林としての可能性を議論することにある。 まず、大分県湯布院町にあるスギ群状択伐林を調査し、群状伐区内の18年生スギ植栽木のサイズのバラツキを予測する個体ベースモデルを構築した。垂直方向の競争指数として下木対象木から上木競争木梢端への見上角度合計を用いた結果、北方向に位置する上木による競争効果はないことがわかった。 次に、宮崎県椎葉村にある群状伐区内のスギ・ヒノキ幼齢木の樹高成長に及ぼす要因を分析した。林地で直接測定した光環境(GLI)と土壌深度を変数とする重回帰モデルは精度よく樹高のバラツキを説明できたが、DEMから間接的に推定した競争指数と地形因子を用いた場合は予測精度の低下がみられ、その際、地形因子はほとんど寄与しないことが明らかとなった。 また、大分県湯布院町にあるスギ帯状択伐林を調査し、伐区内の16年生スギ植栽木の樹高を予測するモデルを構築した。ここでも、垂直方向の競争指数として見上角度合計を採用した結果、植栽木サイズのバラツキの約60%を説明できることがわかった。モデルシュミレーションにより帯幅を変化させた場合の伐区内植栽木の平均樹高の変化をみた結果、帯幅が上木樹高よりも小さい場合には平均樹高が大きく減少することがわかり、帯状択伐方式の場合には少なくとも上木の樹高程度の帯幅を設定する必要があることを提示した。 さらに,大分県湯布院町と宮崎県諸塚村にある帯状複層林の下層植生の多様度を隣接する一斉林と比較した結果,種数にはほとんど差異は見られなかったものの,生活型ごとに見た場合,帯状・群状複層林のほうが森林性の種が豊富であることが明らかになった。また、魚眼レンズを用いて伐区内の光環境を推定する際の留意点について考察を行った。
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Research Products
(6 results)