2002 Fiscal Year Annual Research Report
外生菌根菌の胞子発芽時と菌根形成初期段階における脂質代謝調節機構の解明
Project/Area Number |
14560134
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
服部 武文 京都大学, 木質科学研究所, 助手 (60212148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 明 滋賀県森林センター, 専門員(研究職)
島田 幹夫 京都大学, 木質科学研究所, 教授 (50027166)
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Keywords | 外生菌根菌 / 炭素代謝 / 脂質 / 脂肪酸 / グリオキシル酸回路 / イソシトレートリアーゼ / リンゴ酸合成酵素 / トリオレイン |
Research Abstract |
本研究課題を達成するため、本年度は外生菌根菌の貯蔵炭素源の一つである、脂肪酸、脂質の利用能力を検討した。外生菌根菌17属34種59菌株を飽和脂肪酸のパルミチン酸、不飽和脂肪酸のオレイン酸、リノール酸、リノレン酸、オレイン酸のトリグリセリドであるトリオレインを炭素源に用いて静置培養し、それらの生長量をグルコースの場合と比較することにより、外生菌根菌が脂肪酸および脂質を炭素源として利用する能力を比較した。 供試した外生菌根菌の多くは、グルコースを炭素源として用いた場合に最もよく生長した。しかし、クロカワ、サクラシメジ、キチチタケ、の3菌は、パルミチン酸炭素源において、それぞれグルコース炭素源の場合の、114.5、220.1、252.6%の生長を示した。また、オオキツネタケはオレイン酸炭素源で、グルコースの場合の、151%の生長であった。又、これら炭素源を用いた培養において、グルコースに比べて50〜100%生長した外生菌根菌は、パルミチン酸で7属10種11菌株、オレイン酸で4属5種7菌株、トリオレインで2属2種3菌株であった。しかし、コウタケ以外の菌株は、リノール酸炭素源では生長できず、今回調べたすべての菌株がリノレン酸炭素源では生長できなかった。従って、外生菌根菌の中には、飽和および不飽和数1までの脂肪酸を、グルコースと同等かそれ以上に利用できる菌が有ることが分かった。 そこで、オオキツネタケと同属である、ウラムラサキをトリオレインを炭素源に用いて培養したところ、同菌はトリオレイン炭素源をグルコース炭素源と同等かそれ以上に利用できることが分かった。さらに、トリオレイン炭素源で生育している際、グリオキシル酸回路の鍵酵素である、インクエン酸リアーゼおよびリンゴ酸合成酵素の活性が誘導されることが分かった。現在、これらグリオキシル酸回路の鍵酵素の調節機構に関し、さらに検討している。
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