2002 Fiscal Year Annual Research Report
月齢同調産卵現象を有するアイゴ類における月光感受能の解明
Project/Area Number |
14560158
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
竹村 明洋 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 助教授 (40222103)
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Keywords | 月齢 / ゴマアイゴ / テラピア / メラトニン / 満月 / 新月 / サンゴ礁 |
Research Abstract |
サンゴ礁に生息する魚の多くは産卵期に月齢に同調した性成熟と産卵を繰り返す。この海域の魚が月の何を感じ、そしてそれを体内でどのような情報へと転換して月齢同調性を示すようになるのかについては解っていない。本研究では月が地球に及ぼす環境変化のうち月光の周期的変化に焦点をあて、沖縄のサンゴ礁に普通に生息する月齢同調産卵魚ゴマアイゴ(Siganus guttatus)とアフリカ原産の淡水魚テラピア(Oreochromis mossambidus)の血中メラトニン(MT、明暗周期で変動するホルモン)量と月光変化との関連を調べた。 琉球大学熱帯生物圏研究センター実験水槽で3年間飼育したゴマアイゴと沖縄河川で採集したテラピア成魚を材料とし、以下の実験を行った。1)血中MT量の日周変動、2)自然条件下における満月と新月(0時)での血中MT量の変化、3)全暗条件で飼育した魚を新月と満月へ暴露した後の血中MT量の変化。4)人為的満月と新月条件で飼育した魚における産卵観察と精子活性測定(ゴマアイゴのみ)。血中MT量測定には時間分解蛍光光度計を利用した。 ゴマアイゴ及びテラピアの血中MT量は、昼間に低く日没後(21〜0時)に高値を示した。新月と満月における血中MT量を比較した結果、両魚種とも満月のMT量のほうが新月のそれよりも低かった。満月と新月にそれぞれ月光に暴露した魚の血中MT量は、暴露しない魚のそれより有意に減少し、自然状態で飼育した魚のレベルに戻った。人為的満月と新月で飼育したゴマアイゴは予定月齢で産卵しなかった。また同条件で飼育したゴマアイゴ雄の精子活性は自然条件で飼育した雄のそれより低かった。以上の結果から、ゴマアイゴとテラピア共に月光を認識している可能性があった。特にゴマアイゴでは月光の周期的な変化認識し、性成熟と産卵に利用している可能性があった。
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