2002 Fiscal Year Annual Research Report
二枚貝レクチンが生殖組織に置いて発揮する生理機能を探る
Project/Area Number |
14560167
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永沼 孝子 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 助手 (50250733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 智久 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 助教授 (80240901)
村本 光二 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (90157800)
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Keywords | マベガイ / レクチン / トレハロース / 生殖細胞 / 生体防御 |
Research Abstract |
二枚貝類の一種であるマベガイから単離・精製したレクチン(PPL)について、その生理機能を明らかにする目的で、主として(1)mRNAの発現部位についての検討と、(2)微生物に対する相互作用についての検討を行った。 (1)成熟したマベガイの各組織から抽出したtotal RNAをもとにしたRT-PCR法により、外套膜と♀の生殖腺にcDNAの増幅が確認され、この結果はNorthern hybridizationの結果とよく一致した。一方、in situ RT-PCRの結果は、外套膜、♀の生殖腺(卵母細胞)のほかに、消化管(肝臓)にも僅かながらmRNAの発現が認められた。(2)微生物との相互作用については、各種細菌のうちgram陰性菌であるE.coliに対して強い凝集活性が認められたことから、これらの菌の生育に対する影響について検討した。寒天平板培養法による試験結果から、PPLは試験に供したE.coli株のうちo-抗原を有するsmooth株(K-12)に対して生育を抑制することが確認された。また、精製リポポリサッカライド(LPS)との相互作用を赤血球凝集阻止試験によって検討した結果、Smooth LPSに対してのみ阻害活性を示し、E.coliを用いた試験の結果と一致した。PPLは各種糖のうち、Trehaloseの他にGlcNAcにも強い結合特性を有しており、smooth-K株の有するO-抗原側鎖部分<2-D-Gal-(β16)-D-Glc-(α,β)-L-Rha-L-Rha-(α13)-D-GlcNAc-(α-1)>のGlcNAcを認識していると推定された。また(1)でも肝臓にmRNAが発現していることから、PPLは生体防御に関する役割を担っている可能性が示唆された。 PPL単離後に残存した外套膜の抽出液中になお強い赤血球凝集活性が見られ、さらにTrehalose結合特性が確認されたことから、Trehalose-Sephrose4Bを用いたアフィニティークロマトグラフィーにより新規レクチン(PPL-2)を単離・精製した。PPL-2はヘテロ2量体を形成しており、各々のサブユニットは17kDa,16kDaであった。またNative電気泳動によって、塩基性タンパク質であることが明らかになった。N末端側の配列(AFTPQYLTKVGGNGGGFDEs・・・,両サブユニットともN末端は同一であった)は先のPPLとは全く異なっており、E.coliに対する凝集活性も有していなかった。PPL-2の収量はPPLと比較すると10倍程度多く、生体内において少なからず役割を果たしているものと考えられた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Mkwesthama, N., Naude, R.J., Oelofsen W., Muramoro K., Naganuma, T.: "The purification and characterization of m-calpain from ostrich brain"The International Journal of Biochemistiy & Cell biologuy. 34. 337-347 (2002)
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[Publications] Yokoo, M., Miyahayashi, Y., Naganuma, T., Kimura, N., Sasada, H., Sato, E.: "Identification of hyaluronic acid binding proteins and their expression in porcine cumulus-oocytre complexes during in vitro maturation"Biolopgy of Reproduction. 67. 1165-1171 (2002)