2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14560173
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
小瀧 裕一 北里大学, 水産学部, 助教授 (30113278)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
児玉 正昭 北里大学, 水産学部, 教授 (40050588)
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Keywords | 記憶喪失性貝毒 / ドウモイ酸 / 珪藻 / Pseudo-nitzschia multiseries / 光合成活性 / クロロフィルa / 鉄 / 培養 |
Research Abstract |
Pseudo-nitzschia multiseriesのドウモイ酸(DA)生産機構を解明する一環として、本種のバッチ培養におけるドウモイ酸生産と鉄の関連を調べた。単種培養において本種はまずSi濃度の減少によって定常期に達し、その後細胞は漸減した。DAはその間徐々に増加するが、特に培地中の可溶鉄濃度が激減したあとに急激に増加することが観察され、培地の鉄の枯渇に呼応してDAが生産されることが示唆された。また同株の単種培養の定常期初期にEDTA-鉄を添加した場合は添加量が多いほどDA量が少なかった。培養最終日については細胞のChl. a含量および光合成活性についても調べたところ、いずれもDA含量の高い方が高い結果が得られた。またP. multiseriesの無菌培養に添加した場合そのDA生産能を高度に上昇させることを確認しておいた細菌を用いて培養実験を行い鉄の取り込みを調べたが、明確な結果は得られなかった。そこでP. multiseriesの無菌培養を作製し、単種培養と比較しながら培養を行った。両培養とも同様な細胞密度の推移を示したが、0.8μmのフィルター捕集画分(藻体および一部の細菌画分)の鉄含量は珪藻の増殖とともに増加し、定常期に入って停滞した。無菌培養はほぼそのままのレベルで推移したが、単種(有菌)培養の方はその後も上昇を続けた。鉄を多く消費するのは珪藻自身か細菌かについては不明であるが、単種培養の方が無菌培養より鉄の消費が大きいことが示唆された。培地中の可溶鉄の推移については目下分析中であるが、単種培養の方が低く推移することが予想される。また培養期間中のChl.a含量は単種培養の方が高く推移した。この結果から、単種培養中の細菌がDA生産上昇を促進する理由として、細菌自身がある程度鉄を消費し鉄欠乏状態を作り出す可能性とともに、細菌が珪藻細胞のChl.a合成を促し光合成活性を活発化させることにより、珪藻細胞自身も鉄をより消費し、鉄欠乏状態が作られる可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kotaki, Y: "Production of domoic acid by diverse species of pennate diatoms"Fisheries Science. 68 Supl.1. 525-528 (2002)
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[Publications] 小瀧 裕一: "珪藻の毒"藻類別冊(21世紀初頭の藻学の現況). 75-77 (2002)