2002 Fiscal Year Annual Research Report
放牧家畜の消化器官組織におけるnet fluxからみた養分摂取
Project/Area Number |
14560223
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
谷口 幸三 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 教授 (30093777)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小櫃 剛人 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 助教授 (30194632)
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Keywords | 消化器官 / 放牧家畜 / 酸素消費 / エネルギー摂取 / 窒素代謝 |
Research Abstract |
反芻家畜の消化器官組織における酸素と窒素化合物の正味流量の面から、放牧家畜におけるエネルギー摂取量の推定と窒素代謝を解明することを目的として研究を進めている。1年目にあたる本年度は、舎飼い下での飼料給与レベルの違いによるエネルギー摂取量と消化器官での酸素消費量、窒素(N)代謝との関係を検討した。 1.試験1では、粗飼料と濃厚飼料比7:3の飼料を維持(M)エネルギー量の0.5〜1.75Mまで変動させ、Y:消化管(PDV)の酸素消費量(mmol/h), X:可消化エネルギー摂取量(DEI MJ/d)とした場合、Y=4.92X+91.1(n=16, r=0.81)の式を得た。 2.試験2では、粗飼料1M+濃厚飼料0,0.33,0.67,1.0MのDEI給与レベル下で、PDV酸素消費量Y=5.25X+69.3(n=16,r=0.77)の式を得た。また肝臓を含めた総内臓組織での酸素消費量YとDEI(X)との間では、Y=10.1X+148.3(n=16,r=0.82)の関係式を得た。 3.試験1,2を併せた各処理平均でのPDV酸素消費(Y)とDEI(X)との間に、Y=6.96X+47.6(n=8,r=0.997)の非常に高い相関関係が認められた。この式を用いて、粗飼料のみの自由採食時におけるPDV酸素消費量からDEIを算出した結果、2.9%の推定誤差であった。 4.試験1でのN代謝を測定した結果、飼料摂取レベルの増加に伴い、(1)可消化N摂取量、N蓄積量、アンモニア態N吸収量、動脈中尿素態N濃度は直線的に増加した。(2)αアミノ酸Nの吸収量も増加するが、1.5Mと1.75M時では差がなく、1.75M時に動脈中濃度が急増したことから、消化管でのαアミノ酸N取込み量の増加が示唆された。 これらの結果は他組織に比べて消化器官でのN代謝が極めて重要であること、放牧時におけるPDV酸素消費量からエネルギー摂取量の推定が十分可能なことを示している。次年度の実際に放牧家畜を用いた成果が期待できる。
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