2003 Fiscal Year Annual Research Report
放牧家畜の消化器官組織におけるnet fluxからみた養分摂取
Project/Area Number |
14560223
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
谷口 幸三 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 教授 (30093777)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小櫃 剛人 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 助教授 (30194632)
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Keywords | 消化器官 / 放牧家畜 / 酸素消費 / エネルギー摂取 / 窒素代謝 |
Research Abstract |
反芻家畜の消化器官組織における酸素と窒素化合物の正味流量の面から,放牧家畜におけるエネルギー摂取量と窒素代謝の特徴を明らかにすることを目的として研究を行った。最終年度にあたる平成15年度は,腸間膜動静脈,肝門脈,肝静脈に慢性カテーテルの装着手術を施した去勢ヒツジ6頭を5〜6月の前期と後期に放牧し,大麦の補給(400g/日)の有無に伴う消化器官組織での窒素化合物と酸素消費量を測定し,さらに酸素消費量からエネルギー摂取量を推定した。 得られた結果は次の通りである。 1.アミノ酸の消化管吸収量に対する大麦補給効果は,後期に増加したが,前期では認められなかった。肝静脈からのアミノ酸放出は,後期は前期に比べて減少したが,大麦補給により増加した。 2.アンモニアの消化管吸収量は,大麦の無補給区に比べて補給区では,前期に増加,後期に低下する傾向を示した。消化管への尿素移行量は前期,後期とも大麦補給により増える傾向にあったが,有意ではなかった。肝臓からの尿素放出量には大麦補給効果はなく,前期に比べて後期に増加傾向を示した。 3.消化管組織での酸素消費量は大麦補給の影響を受けず,前期に比べて後期に増加した。前年度得られた消化管組織における酸素消費量と可消化エネルギー摂取量の関係式を適用すると,前期では維持エネルギー要求量の1.6倍,後期では2.0倍と推定された。 以上の結果から,放牧ヒツジへの大麦の補給は.全エネルギー摂取量には影響せず,牧草摂取量を抑制させるが,肝臓からのアミノ酸放出量を高めること,および牧草の生育段階によって消化器官組織における窒素とエネルギー代謝に対する大麦の補給効果は異なることを明らかにした。
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Research Products
(1 results)