2002 Fiscal Year Annual Research Report
食品物性改良能と生理活性機能を合わせ持つタンパク質ポリマーの開発
Project/Area Number |
14560224
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
六車 三治男 宮崎大学, 農学部, 教授 (50091369)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河原 聡 宮崎大学, 農学部, 助手 (30284821)
|
Keywords | 高齢者 / コラーゲン / 融点 / トランスグルタミナーゼ / タンパク質 / ペプチド / 血圧降下作用 / 食肉 |
Research Abstract |
急速な高齢化社会の到来をうけて高齢者の身体機能、特に咀噌機能の減退に無理なく適合できる食品素材と、生体の生理機能の減衰抑制に貢献する生体調節機能を合わせ持つ食品素材の研究・開発が強く要望されている。食品をかむことが困難な人には、トロミをつけた食事の工夫は非常に効果的である。古くからコラーゲンは食品のゲル化剤として利用されているが、加熱によりゲルが溶解するため用途が限定されている。そこでまず、コラーゲンの融点を改変することで問題点の解決を図る。次に本来高い栄養価を有している乳タンパク質、食肉タンパク質やその他の食品由来の生理活性機能の明らかな標品も会合させて、食品の物性をコントロールし、咀嚼えんげ性改善効果も持ち、生体調節機能をも有する、食品タンパク質ポリマーの開発を試みることが本研究の目的である。 コラーゲンの物性の改変や食品タンパク質ポリマーの調製には、タンパク質のグルタミン残基(Gln)とリシン残基(Lys)間を共有結合により架橋する反応を触媒する酵素、トランスグルタミナーゼ(TG)を使用した。まず、コラーゲンの融点の改変を試みた結果、様々な融点を有するコラーゲンゲルの調製に成功した。さらに、TGにより大豆タンパク質や乳タンパク質を処理することにより乳化性の向上した食品素材も調製することができた。一方、豚肉の骨格筋を構成する筋肉タンパク質を酵素処理することにより、血圧降下作用を有するペプチドが出現することを明らかにした。さらに、それらのペプチドを単離・精製したところ、筋肉調節タンパク質のトロポニンC由来の9merのペプチドを同定し、強い血圧降下作用を有することを明らかにした。 以上の結果、融点を改変したコラーゲンに機能性食品素材や生理活性ペプチドを組み込むことにより、食品の物性をコントロールし、咀嚼えんげ性改善効果も持ち、生体調節機能をも有する、食品タンパク質ポリマー開発の可能性が示唆された。
|
-
[Publications] Y.Erwanto, M.Muguruma, S.Kawahara, T.Tsutsumi, K.Katayama, K.Yamauchi, T.Morishita, Y.Kai, S.Watanabe: "Effect of Heating on Polymerization of Pig Skin Collagen Using Microbial Transglutaminase"Asian-Australasian Journal of Animal Sciences. Vol 15,No.8. 1204-1209 (2002)
-
[Publications] K.Katayama, M.Tomatsu, H.Fuchu, M.Sugiyama, S.Kawahara, K.Yamuchi, Y.Kawamura, M.Muguruma: "Purification and Characterization of An Angiotensin I-converting Enzyme Inhibitory Peptides Derived from Porcine Troponin C"Animal Science Journal. Vol 74,No.1. 53-58 (2003)
-
[Publications] M.Muguruma, K.Tsuruoka, K.Katayama, Y.Erwanto, S.Kawahara, K.Yamauchi, S.K.Sathe, T.Soeda: "Soybean and Milk Proteins Modified by Transglutaminase Improves Chicken Sausage Texture even at Reduced Levels of Phosphate"Meat Science. Vol 63,No.2. 191-192 (2003)
-
[Publications] Y.Erwanto, S.Kawahara, K.Katayama, S.Takenoyama, H.Fujino, K.Yamauchi, T.Morishita, Y.Kai, S.Watanabe, M.Muguruma: "Microbial Transglutaminase Modifies Gel Properties of Porcine Collagen"Asian-Australasian Journal of Animal Sciences. Vol 16,No.2. 269-276 (2003)
-
[Publications] K.Katayama, H.Fuchu, A.Sakata, S.Kawahara, K.Yamuchi, Y.Kawamura, M.Muguruma: "Angiotensin I-converting Enzyme Inhibitory Activities of Porcine Skeletal Muscle Proteins Following Enzyme Digestion"Asian-Australasian Journal of Animal Sciences. Vol 16,No.3. 417-424 (2003)