2003 Fiscal Year Annual Research Report
乾燥加熱法を用いたリン酸化による卵白タンパク質の多機能化
Project/Area Number |
14560226
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
青木 孝良 鹿児島大学, 農学部, 教授 (70034460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 祐一 鹿児島大学, 農学部, 助手 (20284911)
イブラヒム ヒッシャム R. 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (90274836)
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Keywords | リン酸化 / 卵白タンパク質 / 乾燥加熱 / ピロリン酸 / 熱安定性 / 表面疎水性 / 透明ゲル / 乳化性 |
Research Abstract |
食品タンパク質をリン酸化すると、乳化特性、ゲル形成性、熱安定性などの機能特性が著しく向上することが知られている。また、リン酸基にはカルシウム吸収促進効果、免疫調節機能等の生理機能が期待できる。前年度の研究で、リン酸塩存在下で卵白タンパク質(EWP)を乾燥状態で加熱するとリン酸化でき、オルソリン酸塩よりピロリン酸塩存在下の方がより効果的にリン酸化できることを明らかにした。本年度は、EWPをpH4のピロリン酸緩衝液に溶解し、凍結乾燥後、85℃で5日間乾燥加熱して、リン酸化EWPを調製し、その性質を調べた。リン酸化EWPの水に対する溶解度は95.8%で、リン酸化による溶解度の減少は僅かであった。8-アニリノスルホン酸ナトリウムを蛍光プローブとして表面疎水性が測定したところ、EWPの表面疎水性(So値)は乾燥加熱で1.6倍、リン酸化で3.1倍に増大した。また、α-キモトリプシンおよびアクチナーゼによるEWPの分解速度は未処理のそれの7.4および3.7倍であったことから、EWP構成タンパク質はリン酸化によりunholdingされたことが示唆された。その結果、EWPの乳化活性および乳化安定性はリン酸により著しくに向上した。pH7.0におけるEWP溶液の熱安定性を加熱後の可溶性タンパク質で評価したところ、未処理EWPでは70℃で不溶化し始め80℃では80%以上が不溶化したが、リン酸化EWPは95℃の加熱でも90%以上が可溶化しており、溶液も透明であった。リン酸化EWPの熱誘導ゲルは、乾燥加熱によりゲル強度が強くなることが知られているが、リン酸化EWPは乾燥加熱のみのものよりゲル強度が高く、しかも透明ゲルであった。これらの結果から、ピロリン酸塩存在下での乾燥加熱はEWPの機能改変に極めて有効な方法であることを示唆された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] C-P.Li, A.S.Salvador, Hi.R.Ibrahim, Y.Sugimoto, T.Aoki: "Phosphoryration of egg white proteins by dry-heating in the presence of phosphate"Journal of Agricultural and Food Chemistry. 51・23. 6808-6815 (2003)