2002 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯・亜熱帯地域の草地における高位生産型放牧システムの開発と窒素動態に関する研究
Project/Area Number |
14560227
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
川本 康博 琉球大学, 農学部, 助教授 (90214709)
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Keywords | 放牧 / ジャイアントスターグラス / 窒素動態 |
Research Abstract |
八重山地域における造成後約15年経過したジャイアントスターグラス(Cynodon aetiopicus、以下Gs)放牧草地において,放牧強度の違いが草地生産性(試験1)と^<15>N標識窒素を用いた施肥窒素由来の窒素の動態(試験2)を調査した. 試験1では黒毛和種繁殖雌牛25頭とその分娩子牛を用いて,弱放牧区(3.2頭/ha)ならびに強放牧区(6.4頭/ha)の2水準で周年の放牧試験を行った.各処理区ともに放牧期間および休牧期間を各々5日,30日とした. 試験2では隣接する強放牧区と弱放牧区のそれぞれの牧区内に,内径30cm、深さ30cmの塩ビパイプを埋設し,^<15>N施用区を設置し,放牧牛への被食防止に電気牧柵を用いて枠内を囲んだ.^<15>N混合肥料の調製は,肥料804の含有窒素10%について50atom%^<15>N硫安(1.05g/m^2)と50atom%^<15>N尿素(0.30g/m^2)で代替した.退牧後に地際から強放牧区では10cm,弱放牧区では20cm以上の地上部を採取し,最終刈取りの3月ならびに12月には残株,根および土壌中の^<15>Nの分析に供した. その結果,試験1における草地生産量は,弱放牧区,強放牧区それぞれ69.31,55.42(kg/a)となり弱放牧区で高い値を示したが,草地利用率については,強放牧区が49.88%と弱放牧区の35.71%を上回る値となった.放牧強度の違いに伴う栄養価の差異は認められなかった. 地上部の^<15>Nの回収率は20.5〜43.3(%)の範囲値内で推移し,冬季より夏季において高い傾向となった.放牧強度の違いによる地上部の^<15>N回収率は,夏季では同等であるが,冬季では強放牧区で高い傾向を示した.部位別の年間^<15>N excess量は,根<残株<土壌<地上部の順で高い値を示し,強放牧区では採食部位(地上部)で,弱放牧では非採食部位(残株,根,土壌)での蓄積が高かった.
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 川本康博, 波平知之, 王城政信, 仲田正: "異なる放牧強度が南西諸島におけるジャイアントスターグラス放牧草地の草地生産性と^<15>N標識窒素の動態に及ぼす影響について"日本草地学会誌. 49,別号. 134-135 (2003)