Research Abstract |
これまでの研究によって窒素濃度30ppm以上のアンモニア態窒素を施用した場合、硝酸態窒素施用に比べ、アルファルファ根系の分枝程度が大きく劣ることを明らかにした。しかし,オオムギ,トウモロコシなどでは、硝酸態窒素施用に比べ、アンモニア態窒素施用の生育が劣るのは、窒素吸収に伴う培地pHの急激な低下が一因であることが報告されている。このため,窒素濃度30ppm以上における根系発達の差は,アルファルファの窒素吸収特性によるものではなく,培地pHの低下より生じたことも考えられた。そこでこの点を明らかにすべく,自動pH調節装置を用いて培地のpHを5.5,6.5,7.5を正確にコントロールし,再度,アンモニア態窒素と硝酸態窒素をそれぞれ窒素濃度20ppmから40ppmまで10ppm刻みで変えて施用してそれぞれの根系発達を調査した。 その結果,基準区となるpH6.5,窒素濃度20ppmでは,これまでの報告のようにアンモニア態窒素施用の方が硝酸態窒素施用に比べ,乾物重,根長,根数,分枝根1本あたりの長さのいずれも優れた。しかし,pH6.5,窒素濃度30ppmでは,硝酸態窒素施用の方が乾物重,総根長及びの分枝根1本あたりの長さが優れた。一方,pH6.5,窒素濃度40ppmでは,施肥窒素の化合形態の違いによって乾物重,根長及び分枝根1本あたりの長さに差は見られなかったが,根数は,アンモニア態窒素施用の方が多くなった。 また,pH5.5及び7.5ではいずれの窒素濃度においても施肥窒素の化合形態の違いによる乾物重と根長に差は見られなかった。 これらのことから,培地の窒素濃度30ppm以上の時,硝酸態窒素を施用したアルファルファの根系発達がアンモニア態窒素施用したものに比べ,優れたのは培地pHの低下の影響でないことが示唆された.
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