2002 Fiscal Year Annual Research Report
大型肉用ヤギにおける採食量の体液性調節機序に関する研究
Project/Area Number |
14560237
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
砂川 勝徳 琉球大学, 農学部, 教授 (60145547)
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Keywords | 大型肉用ヤギ / 採食量調節 / 体液性調節機序 |
Research Abstract |
【目的】乾草を1日2回2時間ずつ給与して飼育しているヤギにおいて、2時間の採食時間の前半で採食量の顕著な減少が認められる。本実験では、そのことが採食初期の耳下腺唾液分泌亢進に伴い血液から失われる無機塩類または水分量に起因するか否かを明らかにするために実験を行った。【方法】日本ザーネン種とヌビアン種の雑種ヤギ5頭を供試した。動物には、午前10時にアルファルファヘイキューブ(2〜3kg)、午後4時にアルファルファヘイキューブ(0.8kg)、肉牛用配合飼料(200g)および重炭酸ナトリウム(20g)を給与した。耳下腺フィステルから体外へ流出した唾液は1日1回、午前の給餌前に第一胃に戻した。実験では、非注入(NI)を対照とし、等張人工唾液(ASI)または等張マンニトール溶液(MI)の頸静脈内注入を行った。溶液は、午前の採食開始1時間前から2時間の採食時間の終了まで3時間にわたり頸静脈内へ定速連続注入された。その間、採食速度および唾液分泌速度を測定し、採血を経時的に行った。【結果】血漿浸透圧は採食時間の前半においてはASIおよびMIは共にNIと比べて有意差がなかったが、後半においてはASIがMIおよびNIより有意に高かった。血漿総蛋白質およびヘマトクリットは、ASIおよびMIがNIより有意に低かった。耳下腺唾液分泌速度は、NIにおいて給餌開始後30分まで著しく減少した。対照的に、ASIおよびMIは採食時間の経過に伴い緩やかに減少した。累積唾液分泌量は、ASIおよびMIがNIよりそれぞれ42.4,11.7%有意に増加した。採食速度は、2時間の採食時間の前半ではASIおよびMIがNIより大きかった。累積採食量は、ASIおよびMIがNIよりそれぞれ55,44%有意に大きく、ASIとMIの間には有意差がなかった。以上の結果から、乾草の採食初期に観察される採食量の急激な減少は、耳下腺唾液分泌量の著しい増加によって引き起こされる血液水分量の減少に起因しているものと考えられる。
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