2002 Fiscal Year Annual Research Report
核外遺伝子による家畜経済形質発現の遺伝的制御機構解明
Project/Area Number |
14560238
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
野村 こう 東京農業大学, 農学部, 講師 (60277241)
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Keywords | mtDNA / タウリン系牛 / ゼブー系牛 / 経済形質 |
Research Abstract |
研究機関の1年目にあたる本年度は、耐暑性、抗病性にすぐれたゼブー系牛と、それらの形質を保有しないタウリン系牛の2大系統間での比較により、量的形質発現へのmtDNAの関与を浮き彩りにし、これら核DNAの解析では未だ明らかにされていない経済形質の遺伝的制御の一端を明らかにすることを目的とした。 mtDNA全塩基配列を決定したところ、全鎖長の差はタウリン系牛とゼブー系牛の間には認められず、両者とも16338bp、その塩基組成はアデニン33.5%、グアニン13%、シトシン26.5%、チミン27%であった。領域別の両者の相同性は、非アミノ酸コード領域では12SrRNAと各tRNAが最も高く、塩基置換率はそれぞれ0.7%と0.8%であったが、tRNA-Proにおいては3%と比較的変異性が認められた。最も変異性に富んでいたのはD-loop領域で、塩基置換率は3.9%であったが、その鎖長は両者とも910bpであった。一方アミノ酸コード領域においてはND2、CO1、CO2、ND4、LND6の塩基置換は0.6〜1.7%であったが、これらは全て同義置換であり、アミノ酸置換は全く認められなかった。アミノ酸の変異が高かったのはATPase8、ATPase6、ND5、ND3領域で、塩基置換がそれぞれ3%、1.2%、2%、2.3%、アミノ酸置換が3.1%、1.4%、1.3%、0.9%認められた。ND1、CO3、ND4、Cytb領域は比較的低い塩基置換率(1〜1.7%)とアミノ酸置換率(0.3〜0.5%)を示した。これらのことからタウリン系およびゼブー系という、2大家畜牛系統が示す経済形質の差に関与する可能性のあるmtDNAの領域は、Atpase8、Atpase6、ND5、ND3といった領域であることが示唆された。
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