2002 Fiscal Year Annual Research Report
重複世代を持つ動物集団の遺伝的多様性を最大に保つための選抜・交配システムの構築
Project/Area Number |
14560241
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
野村 哲郎 京都産業大学, 工学部, 教授 (50189437)
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Keywords | 動物集団 / 遺伝的多様性 / 近交退化 / 有害劣性遺伝子 / 致死相当量 / コンピュータシミュレーション / 選抜システム / 交配システム |
Research Abstract |
遺伝資源として小集団を維持する場合、集団の遺伝的多様性をできるだけ大きく保ち、さらに近交退化の原因となる有害劣性遺伝子をできるだけ除去することが重要である。今年度は、これらの点を達成するための選抜・交配システムを線形および非線形計画によってモデル化し、それらの効率を比較するためのシミュレーションプログラムを開発した。選抜方法としては、ランダム選抜(RS)および最小血縁選抜(MINCS)を取り上げた。また、交配方法としては、ランダム交配(RM)、最小血縁交配(MINCM)および最大血縁交配(MAXCM)を取り上げた。有害遺伝子がホモ接合のときの生存率を1-s、ヘテロ接合のときの生存率を1-hsとし、各遺伝子座は生存率に相乗的に作用する遺伝モデルを想定した。RS+RM, RS+MINCMおよびRS+MAXCMを比較したところ、有害遺伝子を除去する効率は、RS+MAXCM>RS+RM>RS+MINCMの順であった。一方、維持される遺伝的多様性の大きさは、この順とは逆であった。このことから、MINCSとの組合せを考慮した最適な選抜・交配システムを検討する必要があると考えられた。そこで、2つの選抜方法と3つの交配方法のすべての組合せについて比較したところ、近交係数が高まる点を除けば、MINCS+MAXCMが遺伝的多様性の維持と有害遺伝子の除去の両面において最も優れていた。また、MINCS+MAXCMの中間世代で交配をMINCMに切りかえることで、RS+RMに比べて近交係数や致死相当量を小さく、さらに遺伝的多様性を大きく保つことができた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Tetsuro Nomura: "Effective size of populations with unequal size ratio and variation in mating success"Journal of Animal Breeding and Genetics. 118. 297-310 (2002)
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[Publications] Tetsuro Nomura: "Effective size of populations with heritable variation in fitness"Heredity. 89. 413-416 (2002)