2003 Fiscal Year Annual Research Report
神経修復時の神経突超、軸索ガイダンスに及ぼすインテグリンリンクドキナーゼの役割
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14560242
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
石井 利明 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (50264809)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 昌数 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (50011995)
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Keywords | N1E-115 cell / LK / インテグリン / neurite / p38MAP kinase / Tau / 分化 / GSK-3β |
Research Abstract |
モルモット大脳からクローニングしたIntegrin-linked kinase(ILK)のcDNA(GenBank Accession No.Af256520)をオリゴヌクレオチド変異法により、ILKの触媒ドメインに存在するN末端から359番目のグルタミンサン(E)をリジン(K)に点変異させることで、他の基本ドメインを保存させたまま酵素活性のみを不活化させたドミナントネガティブ体(DN-ILK)を作製した。DN-ILK.cDNAは神経未分化細胞であるN1E-115細胞に導入後、DN-ILKタンパク質を高発現させた。N1E-115細胞には、内在ILKが発現しているのでDN-ILKをステイブル発現することにより内在ILKの活性を阻害した。DN-ILKをステイブル発現したN1E-115細胞のタウタンパク質は高度に異常リン酸化され、その結果、この高度異常リン酸化タウが線維状に形質膜を内面から覆う篭状の形態をとることを新たに発見した。さらにタウの高度異常リン酸化は、内在ILKの不活化に伴い活性化されたGSK-3βにより引き起こされ、内在LLKはGSK-3βのSer_9をリン酸化することで不活化し、タウタンパク質が高度異常リン酸化されないように保護していることを証明した。また、タウの異常リン酸化は、DN-ILK発現細胞の神経分化不全に部分的に関与していることを明らかになった。異常リン酸化タウは、アルツハイマー病の病理学的所見で認められる神経原線維変性の発生機構の1つと考えられており大変興味深い。このように、ILKは神経分化機構に直接関与するだけでなく、タウのリン酸化を調節することで、神経分化時の微小管形成の促進と分化後の微小管の安定化に寄与する。
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