2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14560243
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
板垣 匡 岩手大学, 農学部, 助教授 (80203074)
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Keywords | 肝蛭 / Fasciola hepatica / Fasciola gigantica / 感染実験 / 交雑実験 / ITS / DNA |
Research Abstract |
本年度は両性生殖型のFasciola hepatica(Fh)と単為生殖型2倍体(2n)または3倍体(3n)との混合感染を行い、そのF1を細胞遺伝学的に解析して両者の種としての独立性を検討した。1.キヌゲネズミにFhと2nのメタセルカリア(Mc)をそれぞれ1個づつ投与し成虫を得た。2n虫体の子宮から虫卵を回収し、それを培養して得たミラシジウムをヒメモノアラガイに感染させてMcを作出した。それをラットに経口投与しF1成虫を得た。F1成虫を酢酸エタノールで固定し、精子の状態および染色体について観察した結果、このF1成虫はFhと2nの雑種(3倍体)であり、また減数分裂中期における染色体の不対合が観察されたことから、異質3倍体であることが確認された。すなわち、F.hepaticaと単為生殖型2倍体は別種であり、今回作出した3倍体は1代雑種であると考えられた。2.ラット(Wistar雄6週齢)にFhと3nのMcをそれぞれ10個づつ投与し成虫20虫体を回収した。3nであることが確認された虫体の第1卵母細胞を観察し、Fhの精子が侵入(受精)している虫体から虫卵を回収し、培養してミラシジウムを得た。それを貝に感染させて得たMcをラットに投与してF1成虫を回収した。染色体分析からF1は2n=40の4倍体であることが確認された。これらには10個の3価染色体と10個の1価染色体が観察され精子形成は著しく異常であった。以上から、F.hepaticaと単為生殖型3倍体は別種であり、今回作出した4倍体は1代雑種であると考えられた。16年度はF.giganticaと単為生殖型2倍体または3倍体との混合感染、およびF.hepaticaとF.giganticaとの混合感染を実施し、F.hepatica、F.gigantica、さらに単為生殖型2倍体および3倍体の種としての独立性を検討する。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Terasaki, K., Noda, Y., Itagaki, T., et al.: "The rat like hamster, Tscherskia triton as host for the parthenogenetic liver fluke Fasciola sp."J.Parasitiol.. 88. 1035-1037 (2002)
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[Publications] Terasaki, K., Noda, Y., Shibahara, Y., Itagaki, T., Fukuda, K., Tsuchiya, K.: "Experimental fascioliasis in the rat-like hamster, Tscherskia triton, and other rodent hosts"Paral.Int.. 52. 147-154 (2003)
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[Publications] 寺崎邦生, 柴原壽行, 板垣 匡: "ウルグアイ産Fasciola hepaticaの配偶子形成と受精"獣医畜産新報. 56. 97-103 (2003)
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[Publications] Itagaki, T., Tsumagari, N., Tsutsumi, K., Chinone, S.: "Discrimination of three amphistome species by PCR-RFLP based on rDNA ITS2 markers"J.Vet.Med.Sci.. 65. 931-933 (2003)
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[Publications] Ito, M., Itagaki, T.: "Survey on wild rodents for endoparasites in Iwate Prefecture, Japan"J.Med.Sci.. 65. 1151-1153 (2003)