2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14560248
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大森 保成 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教授 (60152261)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 勝洋 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (10012022)
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Keywords | 鶏 / 消化管 / 筋層間神経叢 / 粘膜下神経叢 / 内在性 / 神経支配 / HRP |
Research Abstract |
鶏の消化管には筋層間神経叢と粘膜下神経叢があり、消化、吸収、排泄機能を調節している。両者の神経叢は消化管全体を被う二重の網目構造を形成しており、網目の交点に神経節が存在する。しかし、これらの神経叢に存在する神経節細胞がどの方向に軸索を投射しているのかは明らかでない。本年度は十二指腸と直腸の壁内にトレーサーとして西洋ワサビ過酸化酵素(HRP)をマイクロピペツトで注入し、神経叢内における標識細胞の分布を明らかにした。注入部位の腸管を長さ5〜6cm採取し、腸間膜の付着部位に沿って縦に切開し、粘膜を除去してからHRPの酵素反応を行い、ホールマウント標本を作製した。標識された神経節細胞は主として標本の粘膜側に観察され、粘膜下神経叢の神経節細胞と思われた。十二指腸で標識された細胞体のうち70%は注入部位とその口側6mmの間に分布していた。それらの軸索は下行性に投射し、平均の投射距離は3.5mmでした。標識細胞のうち25%は輪状方向に投射し、平均の投射距離は1.8mmでした。一方、直腸で標識細胞のうち75%は注入部位から輪状方向の壁全体に分布していた。それらの軸索は輪状方向に投射し、平均の投射距離は5.0mmでした。残りの標識細胞は注入部位とその口側9mmの間に分布しており、下行性に投射した。平均の投射距離は4.7mmでした。上行性の投射は十二指腸と直腸でともに数が非常に少なかった。これらの標識神経節細胞とは別に、十二指腸では輪状方向に、直腸では長軸方向に平行に走る多数の細い神経線維束が標識された。これらは標識された神経節細胞の分布範囲を超えて投射するので、壁内神経叢の細胞体から出た神経線維ではなく、外来性の神経線維、おそらく交感神経の節後線維と思われる。これらの結果から、十二指腸と直腸では神経節細胞の投射方向と投射距離・外来性神経線維の投射方向に差が見られる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Y Ohrmori, M Suzuki, K Fukuta: "Anatomical relationship between enkephalin-containing neurones and caecum-projecting neurones in the chicken intestinal nerve"Anatomia Histologia Embryologia. 32(印刷中). (2003)
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[Publications] 大森保成: "鶏の消化管を支配する自律神経系の神経回路"獣医畜産新報. 56・4(印刷中). (2003)