2002 Fiscal Year Annual Research Report
草食動物消化管内原虫の機能形態ならびに系統に関する複合的研究
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14560255
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
今井 壮一 日本獣医畜産大学, 獣医畜産学部, 教授 (90120758)
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Keywords | 原生動物 / 繊毛虫 / 鍍銀法 / 草食動物 / 走査電子顕微鏡 / カバ / ラクダ / 系統分類 |
Research Abstract |
本年度は主としてカバの胃内に見られる特殊な繊毛虫の詳細な形態学的研究を行った。申請者らはすでにカバの胃内に後腸発酵性草食動物に見られるMonoposthium属繊毛虫および反芻動物のルーメン内に見られるParentodinium属繊毛虫が存在することを明らかにしているが、これらのうち、Parentodiniumについて、申請者らが開発したピリジン炭酸銀法による繊毛下織の鍍銀を行い、これまでに得られている結果と比較した。Parentodinium属はこれまでに、Parentodinium africanumおよびP. ostreaの2種が記載されているが、鍍銀による検討の結果、明らかに異なる4タイプが認められ、2タイプは新種として記載すべきものと考えられた。これらを、後腸発酵者であるウマの大腸内に生息するBundleia postciliata, Blepharocorys valvata, Cycloposthium bipalmatum、ならびに前腸発酵者であるウシの第一胃に見られるEntodinium simplexおよびEudiplodinium maggiiの繊毛下織と比較したところ、Parentodinium属繊毛虫はいずれも後腸発酵者ならびに前腸発酵者に見られる種の中間型を示した。 一方、前腸発酵看であるラクダの前胃内に生息するCaloscolex属繊毛虫はラクダの胃内絨毛虫相のなかでは非常に特殊なものであるが、これについて、割断走査電子顕微鏡で内部構造の詳細な検討を行ったところ、口部前庭内に繊毛の派生が見られ、さらに特殊な形態を有していると見られていた骨板が牛や羊に見られるOphyryoscolex属もしくはEpidinium繊毛虫のものと類似していることが明らかとなった。これらの所見は、Caloscolex属繊毛虫が前腸発酵者に見られる繊毛虫グループに属していることを示している。
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