2003 Fiscal Year Annual Research Report
草食動物消化管内原虫の機能形態ならびに系統に関する複合的研究
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14560255
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
今井 壮一 日本獣医畜産大学, 獣医学部, 教授 (90120758)
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Keywords | 原生動物 / 繊毛虫 / 形態 / 草食動物 / 走査電子顕微鏡 / トナカイ / ラクダ / 系統分類 |
Research Abstract |
本年度はまず、中国・内蒙古自治区で飼養されていたトナカイのルーメン内繊毛虫構成について調査した。トナカイは栄養となる植物資源の乏しい極北地方に限定して生息している特殊な反芻動物である。これまでに、カナダ、フィンランド、ロシア、アラスカのトナカイでの報告があるが、今回の検索の結果、得られた8属18種のほとんどの種類はこれらの地域と同様のもので、かつ、これまでトナカイに特有とされていた、Entodinium anteronucleatum, E.bicornutum, Enoploplastron confluens, Epidinium gigasの4種も検出された。このことから、トナカイのルーメン内繊毛虫構成は、世界各地で共通性が高く、一方では他の反芻動物から隔離された状態で、トナカイゴケなど特殊な食性に適合した、特徴的な構成を形成していると考えられた。また、走査電子顕微鏡によるこれらの種類の体表構造の観察では、Epidinium gigasの体表パターンはEntodinium属繊毛虫のそれと類似していたことから、Epidinium属はDiplodiniinae亜科よりもEntodiniinae亜科に系統学的に近いという、これまでの我々の仮説を裏付けるものと考えられた。 さらに、エジプト産ヒトコブラクダの胃内繊毛虫を詳細に観察し、Entodinium ovumrajaeに多数の変異型が存在することを発見し、これらを14の形態型に区分した。これらは主として、虫体外質に存在する突起の有無、形態が変異しており、その変異に連続性が認められたことから、何らかの要因により、外質の形態が容易に変化するものと推察された。ラクダ1頭あたり平均約5型が存在したが、各形態型との一定の関連性は認められなかった。外質変異の要因については、我々が以前(Imai et al.,2002)、繊毛虫同士の捕食・被捕食、宿主の摂取飼料、繊毛虫密度とは関連がないことを明らかにしているが、今回の調査でも明確な要因を明らかにすることはできなかった。しかし、同一のルーメン内で同種の繊毛虫種にかなり多くの形態型が出現することは、ラクダの胃内環境がかなり複雑であることを示唆していると思われた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Imai, S., Oku, Y., Morita, T., Ike, K., Guirong: "Rumen ciliate protozoal fauna of reindeer in Inner Mongolia, China"Journal of Veterinary Medical Science. 66(2). 209-212 (2004)
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[Publications] Imai, S., Shinno, T., Ike, K., Morita, T., Selim HM: "Fourteen morphotypes of Entodinium ovumrajae (Ophryoscolecidae, Entodiniomorphida) found from Dromadary camel of Egypt"Journal of Eukaryotic Microbiology. 51(In press). (2004)