2002 Fiscal Year Annual Research Report
乳・肉食品におけるブドウ球菌新型エンテロトキシンG、H、IおよびJの危害評価
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14560259
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
品川 邦汎 岩手大学, 農学部獣医学科, 教授 (60133906)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
重茂 克彦 岩手大学, 農学部・獣医学科, 助手 (60224309)
杉山 純一 (株)デンカ生研, 生産副本部長
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Keywords | S. aureus / Staphylococcal enterotoxin / recombinant DNA / emesis / diagnosis / SEG / SEH / SEI |
Research Abstract |
平成12年6〜7月、わが国において加工乳(低脂肪乳等)を原因として過去最大の患者数(13,000人以上)を示すブドウ球菌エンテロトキシンA型毒素による食中毒が発生し、大きな社会問題となった。また、近年相次いで新型ブドウ球菌エンテロトキシン(SE)の存在が報告されているが、これら新型毒素の食中毒への関わりと食品の汚染状況は未だ明らかではない。新型SEの診断方法の確立を目的とし、以下の研究を行った。 A.新型ブドウ球菌エンテロトキシンの嘔吐活性 大腸菌発現系を用いて調整したSEA-SEIの嘔吐活性を、トガリネズミ(Suncus murinus)を用いて検討し、全ての毒素が嘔吐活性を示すことを明らかにした(Hu et al. Infect. Immun)。 B.新型エンテロトキシン(SE)の大腸菌発現系確立と抗SE血清の作成 SEJ遺伝子を大腸菌発現ベクターpET44にクローニングし、大腸菌発現系を確立した。現在、この系を用いてSEJを発現・精製しており、これを抗原として特異性の高い抗SEJ抗体の作製を予定している。また、SEG, SEH, SEIについてはすでに抗血清を作製し、高感度にこれらの毒素を検出できるELISAの系を確立している(Omoe et al. J. Clin. Microbiol.)。 C.牛生乳におけるブドウ球菌汚染実態と、分離菌株の新型SE保有状況 経時的に岩手県内の牛生乳のブドウ球菌汚染実態調査を行い、生乳が農家から集乳センターに至るまでのブドウ球菌汚染の動態を明らかにした。さらに、生乳から分離されたブドウ球菌について、我々が開発したmultiplex PCRを用いて新型SE遺伝子の保有状況を明らかにした。 今年度の成果を元に、次年度は乳・肉食品からの微量新型エンテロトキシン抽出・検出法の確立を進めていく予定である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Hu, D.-L, Omoe, K., Shimoda, Y., Nakane, A., Shinagawa, K.: "Induction of emctic response of staphylococcal enterotoxins in the house musk shrew (Suncus murinus)"Infection and Immunity. 71. 567-570 (2003)